IEAは石油・ガス供給に注力を、元幹部が再生可能エネ重視を批判
国際エネルギー機関(IEA)の石油産業・市場部門トップだったニール・アトキンソン氏は29日公表した報告書で、IEAは世界的な再生可能エネルギー移行に重点を置いていると批判し、石油とガスの供給に力を入れるべきだとの考えを示した。
IEAの近年のクリーンエネルギー政策重視の姿勢に対しては、トランプ米政権(共和党)や同党、石油業界などが非難している。
IEAは29日発表した声明で、この報告書について「初歩的な誤りが多数含まれ、特にエネルギーシステム全般やIEAのモデル分析について根本的な誤解がある」と強く反論した。
その一方で分析の改善に向けた意見は歓迎するとした。
報告書は、IEAが23項目の想定に基づいて「世界の石油生産は2030までにピークに達し、石油・ガスへの新規資は不要」との結論を導き出したことに関し、これらの想定は誤りだったと主張。
新興市場国経済の成長やプラスチック・石油化学市場の拡大を過小評価する一方、電気自動車(EV)の普及ペースを過大評価していると問題点を挙げた。
その上で「IEAのピーク需要シナリオに基づく、物事をあおるような主張や誤った想定は、信頼性の高い手頃なエネルギー供給を計画・提供する上で、世界の経済および安全保障に深刻な影響を及ぼす」と論じた。
報告書の共同執筆者はシンクタンク「ナショナル・センター・フォー・エナジー・アナリティクス」のマーク・ミルズ所長。
米連邦議会議事堂で発表イベントが開かれ、西部ワイオミング州選出のジョン・バロッソ上院議員ら共和党有力者や、全米石油審議会(NPC)のアラン・アームストロング会長ら石油業界幹部が出席した。
参照元∶REUTERS(ロイター)