HIKAKINが手術を受けた好酸球性副鼻腔炎とは?

医療をイメージした写真

YouTuberのHIKAKIN(ヒカキン)さんが「HikakinTV」を更新し、「指定難病になり入院して全身麻酔で手術することになりました」と明らかにした。

この指定難病の好酸球性副鼻腔炎とはどういう病気なのか。

1.好酸球性副鼻腔炎とは鼻のまわりには副鼻腔という空間があり、ここに炎症が起こることを副鼻腔炎という。

副鼻腔炎は短期間に起こっている急性副鼻腔炎と、3か月以上の長期に続く慢性副鼻腔炎がある。

この慢性副鼻腔炎の一種が好酸球性副鼻腔炎だ。

副鼻腔は鼻の周りに広がる空間で、複雑な構造をとっている。

かつては、副鼻腔のうち、上顎洞と呼ばれる空間に「膿がたまる」ことが多く、「蓄膿症」といわれていた。

いまでもご蓄膿症の名称のほうがなじみ深い方も多いかもしれない。

一般に、慢性副鼻腔炎は少量の抗生剤(マクロライド系といわれるもの)を長期に内服し、難治性の場合は内視鏡手術(詳細はこちら)が行われるという流れで治療が行われることが多い。

これらの治療でも治療に難渋する、難治性の慢性副鼻腔炎として知られているものの一つが好酸球性副鼻腔炎だ。

特徴としては鼻茸(鼻ポリープ)があること、喘息を合併している方が多いこと、嗅覚障害がある方が多いこと、痛み止めで息苦しくなるなどのアレルギー症状が出た方がなりやすいこと、副鼻腔の中でも篩骨洞といわれる部位に炎症が強いことが多いこと、などだ。

この鼻茸や副鼻腔の粘膜に好酸球という細胞が多いという特徴があり、そこから好酸球性副鼻腔炎という名称になった。

喘息の方に好酸球性副鼻腔炎が多いという特徴がある一方で、好酸球性副鼻腔炎の方が喘息を発症することも珍しくない。

また、中耳にも好酸球に関連する炎症を起こすことがあり、好酸球性中耳炎と呼ばれている。

好酸球性中耳炎はどんどん進行すると、聾になってしまうことまでありうる病気だ。

2. 鼻茸(鼻ポリープ)がある場合や、喘息のある方で副鼻腔炎のある場合、嗅覚障害がある場合、通常の投薬が効きにくい場合などに疑われる。

耳鼻咽喉科でCTという画像検査が行われたり、血液検査で好酸球を測定されたりする。

最終的には鼻茸や副鼻腔粘膜に好酸球が多く存在することを確認して確定診断される。

厚生労働省の指定難病となっている。

好酸球性副鼻腔炎では中鼻道や嗅裂といわれる部位にできることが多い。

3.まずは飲み薬(マクロライド系といわれる抗生剤など)で様子を見られることが多い。

他にも、海外のデータなどからは鼻噴霧ステロイドは効果があることが知られていますが、鼻噴霧ステロイドの日本での保険適応はアレルギー性鼻炎のみだ。

また、ステロイドが含まれる飲み薬も効果があるが、副作用の観点から漫然と長期に投与されることは望ましくない。

手術以外の治療で効果が乏しい場合は、鼻の穴から内視鏡手術(詳細はこちら)が行われる。

昔の「蓄膿」といわれていた時代の手術は口の中を切って行われ、手術後は頬が腫れることも多かったが、現代の副鼻腔炎の内視鏡手術では、口の中や顔を切ることは原則としては不要。

副鼻腔のまわりには眼窩という眼球に連なる筋肉や神経のある空間や、頭蓋底という髄液が流れている部分などがある。

これらを傷つけないように注意しながら徹底的に手術することが好酸球性副鼻腔炎の手術では大切だとされている。(不十分な手術は再発のリスクを上げることが知られています。)

手術によってコントロールできるケースも多くなってきたが、それでも再発するケースがある。

したがって比較的長期に経過観察が必要になる。

再発した場合、かつてはその治療にかなり難渋していた。

しかし、近年では生物学的製剤といわれる、炎症を抑える薬(同じく炎症を抑えるステロイドと比べて長期に使用しても副作用が非常に少ないもの)が保険収載され、使用されるケースも増えてきている。

4.最後に好酸球性副鼻腔炎については治療開始が早いほうが、治療効果が高いと考えられている。

たとえば、においがわからない患者さんは味がわかりにくくなるばかりではなく、「腐ったものを食べてしまった」「家族の中で自分だけガスのにおいがわからなかった」など、身の危険を感じることもある。

においがわかりにくい、鼻づまりがひどい、などのケースでは放置せず、一度耳鼻咽喉科医に相談していただくことをお勧めする。

参照元∶Yahoo!ニュース