米クリフス、同業とUSスチール買収計画 CEO「日本は中国より悪」

買収をイメージした写真

米鉄鋼大手クリーブランド・クリフスが同業ニューコアと連携し、USスチールの買収を目指す準備を進めていることが、関係筋の話で13日分かった。

それによると、買収額は1株当たり30ドル台後半となる見通しで、日本製鉄の提案である1株当たり55ドルを大きく下回る。

クリーブランド・クリフスは現金でUSスチールを買収し、USスチールの子会社「ビッグリバー・スチール」をニューコアに売却する計画だという。

USスチールの本社はピッツバーグにとどまる見通し。

クリーブランド・クリフスのローレンソ・ゴンカルベスCEO(最高経営責任者)は記者会見で、2023年に拒否されたUSスチール買収の提案を再び行う考えを示したが、詳細については明言を避けた。

「取締役会と経営陣の意向を実現するオファーを出せる立場にいることをうれしく思う」とし、買収によって「米国は良くなり、強くなる」と強調した。

さらに、日本に対する批判を強め、「中国は悪い、中国は邪悪だ、中国は恐ろしい。しかし日本はもっと悪い」と発言。

日本が中国に米市場におけるダンピングや過剰生産の方法を教え、価格を引き下げたと主張した。

この日の米株式市場でUSスチールの株価は6.1%高で取引を終えた。

この件に関してニューコアはコメントを控えている。

クリーブランド・クリフスによる買収案は、日鉄に圧力を強めることが狙いとみられる。

日鉄は6日、バイデン大統領の買収禁止命令や対米外国投資委員会(CFIUS)の審査無効を求めて提訴したと発表。

また、買収阻止のため共謀して違法行為に及んだとしてクリーブランド・クリフスを相手とする訴えも起こした。

日鉄からコメントは得られていない。

USスチールは引き続き日鉄との統合の「完了にコミット」していると表明。

「当社株主に1株当たり55ドルを提供し、今後何世代にもわたり強力なUSスチールを確保するために必要な多額の設備投資と技術共有を保証し、雇用を守るのは日鉄のパートナーシップのみだ」と強調した。

全米鉄鋼労働組合(USW)はUSスチール買収を「他社」が検討していると報じられているとして声明を発表。

そうした計画も「他の案と同じ精査を受けることになる。われわれの物差しは常に、工場や雇用、業界の長期的な安定に対する影響だ」と述べた。

クリーブランド・クリフスによる23年のUSスチール買収案はUSWの支持を得ていた。

参照元∶REUTERS(ロイター)