「焼肉店」倒産 過去最多45件 大手チェーンと競合、街の焼肉店が息切れ

焼肉店をイメージした写真

光熱費上昇や人手不足に加え、輸入牛肉の価格高騰が追い打ちをかけ、焼肉店が苦境に直面している。

こうしたなか、2024年の「焼肉店」の倒産が、過去最多の45件(前年比66.6%増)に達したことがわかった。

これまでの最多は食中毒問題が広がった2012年の35件だった。

コロナ禍は高い換気能力と“ひとり焼肉“が人気となり、2020年の倒産は14件に減り、コロナ禍の数少ない”勝ち組“と言われた。

しかし、物価高や大手チェーンとの競争が小規模店の経営を直撃している。

お客離れを招きかねない値上げも容易ではなく、しばらく焼肉店はいばらの道が続きそうだ。

2024年の「焼肉店」の倒産(負債1,000万円以上)は45件(前年比66.6%増)で、集計を開始した2009年以降で最多を記録し、初めて40件を超えた。

倒産急増の背景は、コスト高と競争激化が大きい。

輸入肉だけでなく和牛価格も高止まりし、野菜などの仕入コストも上昇している。

値上げした焼肉店も多いが、他業態からの焼肉店への進出などで価格競争、顧客争奪が激しく、価格転嫁が十分にできない値上げのケースもある。

これまでの最多は2012年の35件だった。

2011年4月、北陸の焼肉店で発生した集団食中毒の事件が社会問題化した。

この影響が全国の焼肉店に波及し、客足も遠いた。

その後、焼肉店はサービスやメニューの強化などに努め、徐々に客足は回復した。

特に、食べ放題や希少部位の人気上昇のほか、ひとり焼肉ブームも広がり、倒産は落ち着いた。

コロナ禍は感染を避けて飲食店利用が急減したが、焼肉店は換気能力を強力な武器にして来店客を確保。 

飲食店で倒産、休廃業が急増するなか、焼肉店は数少ない勝ち組だった。

だが、他業態からの進出や、大手チェーン店の新規出店が加速するなか、円安と物価高に見舞われて輸入牛肉や野菜、光熱費などのコストが高騰、街の焼肉店の経営を圧迫している。

2024年の焼肉店倒産45件のうち、販売不振(売上不振)が42件(前年比100.0%増)と倍増し、全体の93.3%を占めた。

事業規模では、40.0%が個人企業、従業員10人未満が44件(構成比97.7%)と、倒産した焼肉店は資金力の乏しい小・零細規模が圧倒的に多い。

小・零細規模の焼肉店では、仕入の価格交渉が難しく、省エネなどの設備投資も容易ではない。

さらに大手チェーン店との価格競争に否応なしに巻き込まれ、しばらく淘汰が加速しそうだ。

参照元∶Yahoo!ニュース