米12月雇用25.6万人増、予想上回る 失業率は4.1%に低下
米労働省が10日発表した2024年12月の雇用統計によると、非農業部門雇用者数は25万6000人増加し、市場予想の16万人増を上回った。
同時に、失業率は4.1%と、前月の4.2%から低下し、米連邦準備理事会(FRB)が今年は利下げを慎重に進める可能性を示唆した。
FRBが2022─23年に大幅な利上げを行った影響で雇用は鈍化しているものの、主に歴史的に低い解雇を反映した労働市場の回復力が賃金上昇を通じて消費支出を支え、経済をけん引している。
米経済はFRB当局者がインフレを伴わない成長率とみなす1.8%を大きく上回るペースで拡大している。
キャピタル・エコノミクスの北米エコノミスト、トーマス・ライアン氏は「トランプ新政権が関税と移民制限を組み合わせたスタグフレーション政策を推進すれば、FRBが金融緩和サイクルをほぼ終了させる可能性が高まっている」と述べた。
BMOキャピタル・マーケッツの米国担当チーフエコノミスト、スコット・アンダーソン氏も「労働市場の回復力」が示されたとし、堅調な非農業部門雇用者数の伸びと一定の所得の伸びを背景に「米経済は年初から堅固な基盤に基づき拡大し、FRBは1月の会合で様子見姿勢を維持する公算が大きい」と述べた。
12月の雇用増加は医療などの非景気循環型業種に集中した。
在宅医療サービス、介護・居住型介護施設、病院などで4万6000人の雇用が増加した。
小売業は4万3000人増加した。
11月は2万9000人減少していた。
政府部門は3万3000人増、レジャー・接客業は4万3000人増加した。
一方、製造業は1万3000人減。
大半が半導体や電子部品関連だった。
また、10、11月分の雇用者数は計8000人下方改定された。
時間当たり平均賃金は前月比0.3%、前年比3.9%それぞれ上昇。
11月は前月比0.4%、前年比4.0%上昇していた。
平均週間労働時間は34.3時間で変わらず。
政府は、失業率の算出元となる季節調整済みの家計調査データを過去5年間分見直した。
失業率への影響は軽微だった。
12月に職を失った人の数は16万4000人減の170万人となった。
24万3000人が労働市場に参入したものの、労働参加率は3カ月連続で62.5%。
一方、人口に占める雇用者数の比率は60%と、11月の59.8%から上昇した。
失業期間の中央値は10.4週間だった。
9月以降長期化傾向にあり、11月には3年ぶりの水準となる10.5週間を記録した。
CMEのフェドウオッチによると、金融市場ではFRBが1月28─29日の次回米連邦公開市場委員会(FOMC)で金利を据え置くとの見方が大勢を占めている。
雇用統計の発表後、市場はFRBの利下げ回数が2025年は1回になると織り込んでいる。
6月に金利を再度引き下げ、利下げサイクルをそこで終了させると予想している。
発表前はFRBが5月にも利下げを行うと予想し、年末までに2回目の利下げが行われる可能性を約50%織り込んでいた。
米金融各社も軒並み利下げ見通しを修正。
とりわけバンク・オブ・アメリカ(BofA)グローバル・リサーチは利上げの可能性も想定した。
JPモルガンの米国担当チーフエコノミスト、マイケル・フェローリ氏は、FRBが「3月までに追加利下げに踏み切るには、非常に悪い雇用統計が必要になるだろう」と述べた。
参照元∶REUTERS(ロイター)