金属窃盗多発で買い取り業者に本人確認義務付ける対策案 銅線ケーブル盗まれニワトリ10数万羽被害も 被害総額130億円 警察庁

窃盗犯をイメージした写真

太陽光発電施設から金属ケーブルが盗まれる事件が全国で相次ぐ中、警察庁の有識者会議は金属買い取り業者に対し、売りに来た人の本人確認を義務付ける対策案を取りまとめた。

警察庁はこの対策案を法制化する方針だ。

価格の高騰から金属を狙った窃盗事件は、全国で年々増加していて、2023年の被害額は130億円以上に上っている。

中でも高額で売買される銅を狙って、太陽光発電施設から金属ケーブルが盗まれる事件は増えていて、2024年11月末までの認知件数は、全国で6742件にのぼっている。

今回、警察庁の有識者会議が取りまとめた対策案によると、金属くず買い取り業者は届出制にし業者の実態を把握するほか、金属くず買い取り業者に対し、売却者への顔写真付きの本人確認を行い、本人確認の記録を保存させるほか、売却者から持ち込まれたものが盗品である疑いがある場合、警察に申告することを義務づけるべきなどとした。

また、対象とする金属については特に被害が多い「銅」を対象とすべきとし、犯行時に使われるケーブルを切断するケーブルカッターなどの工具について、隠し持っていた場合に処罰の対象とする新たな規制を設けることも盛り込まれた。

太陽光発電施設を狙った金属ケーブルの窃盗事件をめぐっては、外国人による犯行が6割以上を占めていて、不法滞在の外国人グループが犯行に及んでいる実態があるという。

警察庁によると、2024年11月末までに検挙された人の国籍別では、カンボジア人が最も多く74人に上っていて、2番目は日本人、3番目はタイ人だった。

太陽光施設のケーブルが盗まれると、長期間にわたって発電が停止し、経済的損失も大きいほか、2024年7月には、群馬県の養鶏場で銅線ケーブルが盗まれ、停電で空調設備が停まったことで、十万羽以上のニワトリが死ぬ被害もあった。

警察庁は「盗品の疑いを持ちながらも買い受けしている業者もいる。規制をしていくことで不適切な業者を排除していきたい」とし、対策案をもとに今後、金属盗対策に特化した新たな法律の整備を進めていく方針だ。

参照元∶Yahoo!ニュース