中国株強気シナリオに潜むリスク、米がブラックリスト追加

中国株における価格の変動をイメージした写真

中国株の強気シナリオは表面的には説得力がある。

中国企業は過小評価されており、海外の同業他社に比べてキャッシュフローや収益性が高い場合が多い。

ネットサービス大手、騰訊控股(テンセント)や電池メーカーの寧徳時代新能源科技(CATL)など、世界の投資家の間で特に人気がある一部の大手企業の株価は、昨年2桁の上昇率を記録した。

中国政府が低迷する成長を押し上げる実質的な措置を講じるとの期待が追い風になった。

しかし、この強気相場が最善の場合でも危ういものであることも明らかだ。

米国防総省は6日、中国軍との協力が疑われる企業リストにテンセントとCATLを追加した。

両社の時価総額は合わせて6400億ドルに上る。

両社とも軍との関係を否定しており、テンセントは国防総省の決定について、「明らかに間違い」と批判した。

米財務省や商務省が公表しているリストは、対米投資や米国製品の購入を制限しており、これらに比べると国防総省のリストは一見すると、重大な影響はない。

また、恒久的なものでもなく、顔認証技術などを手掛ける中国の曠視科技(メグビー)は、国防総省のリスト掲載から1年後に削除された。

一方、同社は依然として商務省のリストに掲載されており、2019年以降、米国製品の購入を禁じられている。

しかし、投資家がリスクを認識したことでテンセント株は売りが膨らみ、7日の香港市場で7%以上の下げとなった。

これは中国株を含むベンチマーク指数に連動する数兆ドルの運用資金には痛手だ。

テンセントは1社だけでMSCI中国指数の16%以上ウエートを占めている。

また、CATLのブラックリスト入りは、同社の技術を活用するバッテリー工場を建設している米自動車大手フォードにとっても頭痛の種となる。

中国株への脅威はさらに広がりそうだ。

中国当局が24年に国内市場を下支えするために対策を講じた結果、CSI300指数は年間で15%以上の上昇となった。

だが、トランプ次期米大統領の就任を控え、成長に対する懸念が再燃したため、25年の第1週は5%以上下落した。

昨年の上昇を受けて株式投資を増やしたファンドマネジャーは、強気の見方に基づいて投資するのはリスクが大きく、割に合わないことにすぐに気が付くかもしれない。

参照元∶REUTERS(ロイター)