2児の父みなみかわと考える、お年玉・おこづかいのルール「子どものうちに無駄遣いを後悔した方がいい」

お金に関する哲学を勉強している人

お笑い芸人であり2児の父でもある、みなみかわさん。

公務員だった父親から「借金するな」「貯金しろ」と教えられ、今も堅実な生活を心がけているそうで、「小学生のお年玉には、現金ではなく体験をあげたい」「子どものうちに、無駄遣いを後悔する経験をさせてやりたい」と語る。

子どもたちが自ら考え計算できるようになる、家庭でのお金教育方法について話を聞いた。

また、みなみかわさんが抱える「子どもへのお金の教育」の疑問に、日本金融教育推進協会代表の横川楓さんにお答えいただいた。

みなみかわさんのお家では、お子さんにはどのようにお年玉をあげていますか?

みなみかわ:ウチには小学2年生(8歳)のお兄ちゃんと、保育園年長(6歳)の弟がいますが、実は僕からお年玉をあげたことはないんです。

子どもたちがお年玉をもらえるのは、基本的には祖父母からなんですね。

金額は、お兄ちゃんが5000円で弟が3000円。

そのお年玉も「お父さんとお母さんが預かるな」って、夫婦の口座に入れています。

いや、お年玉を没収しているわけじゃないですよ?

子どもたちが中学生になった時に口座を作って、まとまった金額を入れて渡してあげるつもりです。

「子どもには親からお年玉をあげない」という方針にしたのは、自分の父親が僕にお年玉をくれなかったからだと思います。

でも父親は、お年玉のかわりに、毎年元旦に1000円分の本を買ってくれました。

好きな本を自分で選べたので、「なんとか1000円を丸々使ってやろう」と真剣に考えましたね。

漫画本は当時400円ぐらいだったんですが「2冊買ってもらうと800円だから、200円をお釣りで返さないといけない」「それなら自分で200円出して、3冊買った方が得だ」なんて計算をしたりして、効率の良いお金の使い方を自然と学んでいきました。

単にお年玉としてお金をあげるだけというよりも、こういった計算ができる体験を提供する方が「お金の教育」になるんじゃないかなと思います。

なので、ウチも小学生の間はそうしたいですね。

――では、お子さんが中学生になったらどうする予定でしょうか。

みなみかわ:子どもたちが中学生になった時には、現金で渡した方が嬉しいんじゃないでしょうか。

でも、ただお金を渡すのではなく、3000円、5000円、10000円を入れた3つの封筒を用意して、その中から一つを選ばせて、一喜一憂させたいですね(笑)。

ゲーム性があって楽しいですし、何より、お金はシビアなモノであることを教えたい。

例えば、お兄ちゃんより弟の方が高い金額を選ぶこともあると思うんです。

僕も後輩に給料が抜かれることはたくさん経験しました。

そういうお金の厳しさ、社会の厳しさというものを、お年玉を通して伝えていければと思います。

――日頃、おこづかいは渡していますか?

みなみかわ:おこづかいは毎月1日に渡しています。

小学生のお兄ちゃんは500円、保育園児の弟は100円。

そのうえで誕生日当日に「1年間で使わずに貯めた金額」と同額を、僕から渡すようにしています。

もし子どもが頑張っておこづかいを5000円貯金できたら、誕生日に僕から5000円をあげる。

貯金分の5000円と、僕からの5000円、合わせると1万円の手持ちになるという制度ですね。

貯金すること、将来を見越して計算することがどれだけ大事か分かってほしくて、こういう制度にしています。

――きちんと仕組みを理解できれば、とてもお得になりそうな制度ですね。お子さんはおこづかいを使わずに貯められてますか?

みなみかわ:いや、いつも速攻で使ってしまいますね(笑)。

でも、使ってしまって後悔すること自体が、大事な経験ですからね。

大人になってから無駄遣いを後悔するのは結構きついので、子どものうちに勉強させてあげたいです。

みなみかわさんは、お金に関してしっかり考えを持っていらっしゃいますね。ご両親の影響も大きいのでしょうか。

みなみかわ:父親は公務員で、何かと「貯金しろ」「借金するな」ってうるさいタイプでした。

なので僕自身も結構保守的で、生活に不必要な借金は一度もしたことないです。

家を買う時は仕方がないですけれど、ローンもあまり組みたくない。

あと、将来何が起こるか分からないし、今の仕事が続く確証もないから、この20年間ずっとバイトを続けています。

深夜の歯医者の受付とか、恵比寿の服屋とか。

――ご自身が子どもの頃にもっと学んでおきたかったお金の知識はありますか?

みなみかわ:株や保険のことを、子どもの頃に学びたかったですね。

特に税金に関してはもっと詳しく教えてもらいたかった。

例えば、僕の実家は持ち家なのでお金はかからないと思っていましたが、固定資産税がかかるということを大人になって知って驚きました。

投資に関しても、早いうちから勉強した方が絶対に身に付きますよね。

僕らの世代は「投資=ギャンブル」っていうイメージが強いから、いきなりNISAって言われても腰が重いなあという感覚があって。

自分の子どもたちには「投資のこと分からないから気乗りがしない」という状況にならないようにしてあげたいです。

「子どもへのお金の教育」の疑問にお答えいただくため、Yahoo!ニュース エキスパート オーサーである日本金融教育推進協会代表の横川楓さんをお呼びし、みなみかわさんが気になる疑問をぶつけていただいた。

【質問1】みなみかわ:僕には6歳と8歳の子どもがいます。お年玉の金額は、小学生の間は3000円から5000円が妥当な金額だと思っていますが、いかがでしょうか?

横川楓:一般的に小学生は5000円以内というデータがありますので、みなみかわさんのお考えは妥当だと思います。

中学生になると1万円程度、高校生ではさらに増えていくというデータもあります。

特に高校生は、買い物をする価格帯が上がったり、友人と出かける頻度も増えるので、日々使うお金が増えていきますし、お年玉の額も比例する傾向があります。

【質問2】みなみかわ:おこづかいを月額制にするか、お駄賃制にするか、どっちがいいんでしょうか。「お駄賃制にすると、お手伝いに対価が発生することを意識してしまうのであまり良くない」って何かの本で読んだ気がするんです。でも、将来的には働いてお金をもらうわけだから、お駄賃制でもいいような気がしていて……。

横川楓: どちらが正しい、正しくないということはありません。

何かを頑張ったご褒美にお金をもらうのが嬉しい子、毎月定額のお金が手に入ることが嬉しい子、どちらもいるはずなので、お子さんの性格に合わせて判断してみるのはいかがでしょうか。

とはいえ、働いてお金を得るという感覚を子どものうちから学ぶことは大切なので、月額制とお駄賃制のミックスを試してみるのもおすすめです。

【質問3】みなみかわ:最近電子マネーや交通系ICなどもありますが、子どもには現金を持たせた方が安全ですか?僕は古い人間なので、電子マネーだと支払い行為を軽く考えちゃうんじゃないかと心配です。

横川楓:そうですね。もちろん最初の段階では、物理的に分かりやすい現金を扱う方が良いと思います。

しかし、大人になればポイントを活用したり、交通系ICを利用する場面にも出合います。

子どものうちに、キャッシュレスに慣れておくことも大事です。

現金とキャッシュレス、両方を使ってみる機会を提供するなど、親がサポートしてあげると良いですね。

【質問4】みなみかわ:「税金」や「社会保障」についてもっと学校で教えてくれたら良かったのに、と思うことがあります。学校教育の現状はどうなっているんでしょうか。

横川楓:「税金」「社会保障」といったお金の知識は、実は家庭科の教科書に載っていて、学校でも教えているんです。

しかし家庭科の授業では、裁縫や料理など他の必須項目も多く、事細かに全てを教えることはできていないというのが現状です。

なので、ご家庭で親御さんからも教えてあげると、お子さんの将来に役に立つと思います。

みなみかわ:なるほど、家庭科の授業から切り離して、お金について重点的に教える教科があってもいいかもしれないですよね。「金融」の授業とか。

【質問5】みなみかわ:僕は漫画「カイジ」を読んで、学んだことも多かったと思っています。子どもに漫画などから勉強してもらうことも良いのでしょうか?おすすめのコンテンツはありますか?

横川楓:「カイジ」は借金の辛さなどを学ぶのにいいと思いますが、小学生には少し早いかもしれませんね(笑)。

小学生のお子さんがお金全般を学ぶのにおすすめなのは、ゲーム「どうぶつの森」シリーズです。

「どうぶつの森」にはローン返済や株といった仕組みがあります。

釣った魚を販売してお金を手に入れたり、そのお金を家のローン返済に使うなど、ゲームをしながらお金について勉強することができます。

みなみかわ:小学生時代からローン返済や株取引をゲームの中で経験して、お金の勉強をできるのはすごいことですね。子どもに買ってあげたいです。

参照元∶Yahoo!ニュース