じゅうたんから虫がわく!?「カーペットビートル」と呼ばれるカツオブシムシの生態や予防法を専門家が解説

カツオムシブシの画像

引用元:Yahoo!ニュース じゅうたんから虫がわく!?「カーペットビートル」と呼ばれるカツオブシムシの生態や予防法を専門家が解説

繊維や乾物を食べる「ヒメマルカツオブシムシ」の記事を公開したところ、「じゅうたんから虫がわいたことがある」という声が複数あった。

害虫駆除の専門家、東洋産業の大野竜徳さんによると、カツオブシムシは英語で「カーペットビートル」と呼ばれるほど、じゅうたんを食べることで有名なのだそうだ。

ー「海外で購入したラグからカツオブシムシがわいて困った」という声も届きました。RSK山陽放送の報道部内にも「学生時代にモロッコで買った絨毯から、見たことのない虫が出て来た」との被害報告も…。本当に厄介ですね。(東洋産業 大野竜徳さん)

「英語圏ですと、日本の文化と違ってカーペットの上に靴のまま上がるので、こういう虫が出やすいかもしれませんね。カツオブシムシは、全般に乾燥したタンパク質が好きです」

ー羊毛のじゅうたんは、まさに「乾燥したタンパク質」ですね。

「毛や鱗、乾燥した干し肉状態のところだけをきれいに食べます。カツオブシムシの仲間で、もっとバリバリ食べるもの(ハラジロカツオブシムシやトビカツオブシムシなど)は、その習性を利用して小動物の骨格標本の作製に使われてきた歴史があります」(東洋産業 大野さん)

「たくさんの種類がいる中で、ほぼヒメマルカツオブシムシだけが植物質も食べることができ、飢餓にも強いので、人間の生活に溶け込んでいます。ときどきヒメカツオブシムシというのも出ますね」

「私たちの目に留まらず、食べ物もたくさんあればほかにも出現してくることがあります。カツオブシムシはもともとは鳥や獣の巣でもよく見つかります」

「変わったものだと、カマキリタマゴカツオブシムシというカマキリの卵を食い尽くすものがいたり、幼虫の画像しかないので参考にはならないと思いますが、姿が全然カツオブシムシっぽくない、マサカカツオブシムシという、まさかこれが!みたいなものもいます」

「その名も『マサカカツオブシムシ』。カツオブシムシの仲間の成虫は丸っこい小判型をしているものが多いのです。」

「マサカカツオブシムシの成虫はまるで小さなカミキリムシのような形!…をしているのがオスで、メスには翅がなく、毛虫のような幼虫が変身に失敗したような不思議な形をしています」

(大野さん)「マサカカツオブシムシの大きさは2~2.5mmくらいと小さな虫です。見た目だけでも『まさか、これがカツオブシムシ!?』なのですが、コウチュウの仲間で、オスは翅があるといっても柔らかく、その飛ぶ姿は『カ』よりもさらに弱弱しいユスリカのような飛び方しか観察できません」

「当然翅のないメスは飛ぶことができず、その辺をずりずり動き回っているだけ…。こんな姿でどうやって住むところを移動しているのかはあまりわかっていません。名古屋、京都、大阪などで発見されているとされ、虫が好きな方の間では有名な虫の一つですが、他県でも発見されており、不思議なことに博物館などで見つかるケースが確かにあります」(大野さん)

「まさか、博物館でたくさん発生する虫?」と考える方もいらっしゃるかもしれません。ひょっとしたら実は身の回りにはそこそこいるのかもしれませんが、ほそぼそと生活しているマサカカツオブシムシの存在を知っていて、しかもその姿を見て『マサカカツオブシムシだ!』とわかる方が少ないからかもしれません」

「ちなみに、ヨーロッパにも分布しているマサカカツオブシムシ、『odd beetle』と呼ばれています。そのまま訳せば『奇妙なコウチュウ』ですが、柔らかく訳すと、『なんか変な虫』です。どうやら海外でも変わった虫な扱いを受けているようです」

「見た目はまさか!なカツオブシムシですが、そのエサはほかのカツオブシムシと同じで、乾燥した動物質が好きなようです。ペットの乾燥エサ、乾物、乾燥した私たちの食べこぼし、髪の毛や皮膚などを食べることができるようです」「当然、たくさん発生したら害虫になる可能性がありますね。ひょっとしたらこの小さな小さな同居人(虫?)もみなさんの身の回りにもいるかもしれません。そんな、まさか!を体験することがあったらぜひ教えてください」

ーカツオブシムシを駆除するには?

(東洋産業 大野竜徳さん)「なかなかおうちの中からいなくなってくれませんが、根気よくお掃除をすることと、床に置きっぱなしのもの、引き出しや押し入れに押し込めっぱなしのものがないようにすること、ときどき模様替えをするなど、風通しと目が届きやすい環境を作ることが予防には役立ちます」

「また、つるつるの面は登れないこともポイントですね。具体的には…食べ物は・乾燥食品は密閉容器やチャック袋の中で保存する・粉やカスなどが溜まらないよう時々掃除をする」

「衣類は・衣類をしまう前に洗濯・クリーニングする(汗抜きを忘れずに!)、衣類は涼しくて(10℃以下にすると動けなくなります)、なるべく乾燥した場所で保管する(プラスチックの衣装ケースなどは登れませんが、上から落ちてくることもあります)、衣類用防虫剤を使用する、たんすは衣替えの時期には引き出しを外してたんすの中まで確認する、服はなるべく吊るして風通しを良くしておく」

「成虫を持ち込まないために・白い花(キクの仲間)を部屋に飾る前に虫がいないか確認する、洗濯物をとり込む際は、はたいてもちこむ(白い洗濯物が特に好きです)」こまめな掃除、整理整頓が予防になるようです。

参照元∶Yahoo!ニュース