韓国・尹錫悦大統領逮捕へ 逮捕状発付、現職で初 内乱首謀疑い

韓国の国旗を撮影した画像

韓国の尹錫悦(ユンソンニョル)大統領=職務停止中=による「非常戒厳」の宣布を巡り、韓国のソウル西部地方裁判所は31日、尹氏への逮捕状を発付した。

高官犯罪捜査庁(高捜庁)が30日未明、逮捕状を同地裁に請求していた。

聯合ニュースによると、内乱と職権乱用の疑いがもたれている。

韓国の現職大統領の逮捕が認められるのは初めて。

高捜庁は逮捕状発付を受け、尹氏を逮捕する。

大統領は憲法で不訴追特権が保障されているが、内乱罪は例外となっている。

高捜庁はこれまで尹氏に3度にわたり出頭を要請したが尹氏が応じなかったため、逮捕状請求に踏み切った。

尹氏の代理人の尹甲根(ユンカプグン)弁護士は30日、逮捕令状に対する意見書をソウル西部地裁に提出したと明らかにした。

高捜庁には内乱罪事件についての捜査権がなく逮捕状の発付は不当だとの主張を盛り込んだと説明した。

だがソウル西部地方裁判所はこれを認めなかった。

ただ、大統領警護庁の職員らが高捜庁に抵抗する恐れがある。

高捜庁は、逮捕を阻止しようとすれば公務執行妨害罪に当たる可能性があるとけん制している。

国会は14日、戒厳令の宣布は違憲だとして尹氏に対する弾劾訴追案を可決。

尹氏は職務停止に追い込まれたが、警護などの特権は維持し、ソウル市内の高台にある大統領官邸で生活している。

高捜庁は尹氏による戒厳令の宣布について「職権を乱用し、憲法秩序を乱す目的で暴動を起こした」疑いがあるとし、尹氏を「内乱の首謀者」とみている。

法務省は尹氏を出国禁止にしている。

検察は、戒厳令を尹氏に進言した金龍顕前国防相=27日に内乱罪などで起訴=と尹氏が共謀したとみている。

尹氏は3日夜、政府提出の予算案の一部を減額したり、検察官らを繰り返し弾劾したりする野党の行為を「内乱を企てる反国家行為だ」と非難し、戒厳令を出した。

特殊部隊の一部が国会議事堂に乱入したが、国会は混乱の中で戒厳令の解除を要求する決議案を可決。

憲法に基づき大統領は従わねばならず、尹氏は4日未明に戒厳令を解除した。

戒厳令宣布の際に国会の特殊部隊を指揮した軍幹部らは、尹氏から議員を議場から排除するよう電話で指示されたと証言している。

高捜庁と共に捜査をする警察は尹氏の携帯電話の通話履歴を押収し、解析を進めていた。

弾劾訴追を巡っては、憲法裁判所が国会での弾劾案可決から180日以内にその是非を判断する。

憲法裁が妥当だと判断すれば、尹氏は失職。

60日以内に後任を決める大統領選が実施される。

韓国では過去に、全斗煥、盧泰愚、朴槿恵、李明博の各氏が大統領退任後に身柄を拘束され、実刑判決を受けている。

参照元:Yahoo!ニュース