首都圏の中学受験率は過去最高見通し 入試形式多様化で選択肢拡大、豊島岡は算数と英検

中学受験をイメージした写真

今回(令和7年度)の首都圏(1都3県)の中学受験率は、6年度の約18%を上回って過去最高になる見込みだ。

私立を中心に入試スタイルや受験時期が多様化し、著名な大学付属校など以外にも選択肢が拡大。

学習塾側は「受け皿が増え、途中でチャレンジを断念する子が少なくなった」と指摘し、〝熱〟は当面続くとの見方を示す。

首都圏模試センターの調査によると、6年度入試における1都3県の中学受験者数(私立・国立)は、推定5万2400人(前年度比200人減)で、10年ぶりに減少した。

一方、受験率は18・12%(同0・26ポイント増)で10年連続で上昇し、過去最高を更新した。

少子化で小学6年生全体の人口は減ったが、受験者数の減少率のほうが落ち込みが少なく、受験率は伸びた。

学習塾「栄光ゼミナール」入試情報センターの藤田利通氏は、中学受験の広がりの背景として、「行きたい私学が増えた」ことを挙げる。

具体的には、「グローバル」「サイエンス」「探求」という、教育に関する昨今の3つのキーワードに基づき、各校が留学など語学関連の制度を充実させたり、理科棟を新設したりと、強みの強化や差別化に乗り出しているという。

学校側はSNSなどを駆使した情報発信にも努めており、藤田氏は「保護者や児童はそれらを十分に吟味、比較することができるようになった」と指摘。

結果的に、「偏差値の高低に限らず、将来の夢の実現に役立つ学びを得られるかどうかという観点に立った学校選びが、主流になってきた」と話す。

同センターの予測では、今回入試の受験者数は6年度と横ばいで推移し、受験率についてはわずかではあるが増加して過去最高になる見込みという。

入試形式も多様化している。

英検など英語資格の取得級に応じて加点したり、従前の4教科入試に加えて「算数・英語」の2教科型、1教科(4教科のうちいずれかを自身で選択)型を導入したりするケースが増えている。

難関女子中の豊島岡女子学園(東京)は、今回入試から「算数・英語資格」入試を実施する。

300点満点で、算数の得点を2倍したものに、英検3級(CSEスコア1456以上)なら50点など、英検級に応じた「みなし得点」を加えた得点で判定する。

募集人数は若干名だが、注目を集めそうだ。

首都圏の中学受験では、各校の受験日が1月初旬~2月初めの期間に集中するため、同じ日の午前と午後に各1校ずつ併願受験することも珍しくない。

このところは生徒の獲得に向け、午後日程に比較的負担の少ない1教科型入試を実施している学校も多くなってきたという。

受験生にとっては、より選択肢が広がることになる。

また、高校や大学の教員による出張講義などを中学生段階で受講できるといったメリットがある「高大連携」も進み、判断の材料となっている。

今後の展望について藤田氏は、「全体として少子化の傾向ではあるものの、東京都に限ると、小学6年生の人口はここ5年程度はむしろ増えるとのデータがある。東京の児童数が増加すると受験者数も伴って増える傾向にある」と説明。

「多数の中学校が出展する合同説明会などの場には、以前よりも早い小学2年の児童や保護者の参加も目立つ。全体的に関心は高まっており、首都圏の中学受験の熱は当面冷めることはないだろう」との見方を示す。

参照元:Yahoo!ニュース