教職調整額引き上げも「残念」 文科相も「61点」 教員の受け止めは
公立学校の教員の給与を巡る文部科学省と財務省の議論は24日、残業代を支払わない代わりに給料月額の一定割合を上乗せする「教職調整額」を4%から段階的に10%に引き上げることで決着した。
財務省は将来的に、教職調整額を規定する教員給与特別措置法(給特法)を廃止し残業代支払いに移行することを示唆していたが、給特法は維持されることになった。
「約50年ぶりとなる処遇改善ができたことを鑑みると80点くらい」。
公立学校教員の処遇を巡り、阿部俊子文部科学相は24日午後に開いた記者会見で、加藤勝信財務相との合意をそう自己採点した。
ただ、その直後に「学校現場の厳しい状況を考えると及第点ギリギリ、61点くらい。まだ足りない」と硬い表情で評価を後退させた。
現場の教員の受け止めも厳しい。
教職調整額を規定する教員給与特別措置法(給特法)が「定額働かせ放題」につながっていると批判してきた岐阜県立高校の教員、西村祐二さん(45)は「あまり前向きな評価はできない」と率直に語った。
「働き方改革を強く進めるよう文科省に迫る内容になったのは良かったが、給特法が変わらなければ教員は救われない」と指摘。
2025年通常国会での給特法改正案の審議を見据え、議員へのアピールを強める考えを示した。
3人の子どもの育児をしながら関東地方の小学校で教壇に立つ30代女性教諭は「(調整額が)13%になると期待していたので、残念だ」と語った。
勤務時間内は雑談し、夕方から業務に取りかかるような同僚もいるため、仮に残業代の仕組みに移行した場合はむしろ不平等になると考えており、調整額の引き上げに期待していたという。
校内には産休に入った教員がいるが、代替要員がおらず教頭が担任を兼務している。
「処遇はともかく人員を増やしてほしいが、急激に増えるとも思えない」と諦めた様子で話した。
教育研究家の妹尾昌俊さんは「これがスタートラインだろう。小学校では教員1人あたりの授業数が多すぎるなどの課題もある」とし、25日に諮問される学習指導要領の改定に期待を寄せた。
その上で「働き方改革は学校や政府の取り組みだけでは限界がある。自治体や地域、家庭の理解と協力が不可欠だ」と話した。
参照元∶Yahoo!ニュース