シリアの刑務所から拷問された35遺体 悪名高き「人間食肉処理場」、アサド政権が反体制派処刑か

刑務所をイメージ画像

ロイター通信によると、アサド政権が崩壊したシリアの首都ダマスカス郊外のサイドナヤ刑務所で、拷問の痕跡がある少なくとも35人の遺体が10日までに見つかった。

刑務所は国際人権団体が「人間食肉処理場」と指摘した悪名高き施設で、旧政権による人権侵害の実態が明らかになりつつある。

暗い刑務所内の雑居房から姿を見せる数十人のやせた男性。

子供とともに拘束されていた女性の姿もあった。

政権が崩壊した8日以降、刑務所で撮影されたとされるSNSの映像だ。

刑務所内には秘密の隠し部屋もあったとされ、民間の救助隊などが捜索していた際に多数の遺体を見つけたという。

多くは腐敗し、一部は手や足がなかった。

トルコを拠点に刑務所収容者の家族らを支援する「サイドナヤ拘束者・行方不明者協会」が入手した資料によると、11月現在で4300人が拘束されていた。

大半が政治犯や軍からの離反者だった。

協会の共同創設者で、自身も2017年まで21年間、スパイ容疑で刑務所に収容されたリアド・アウラル氏(50)は「ほとんどの人は『反体制』というだけで明確な理由もなく拘束された。刑務所での処遇は筆舌に尽くしがたいものだった」と打ち明ける。

国際人権団体アムネスティ・インターナショナルが17年に公表した報告書によると、「人間食肉処理場」と称されたサイドナヤ刑務所では、シリアで反体制デモが始まった11年から15年までの間に最大1万3000人が裁判を経ずに処刑された。

拷問死や衰弱死、病死も相次いでいたという。

多くの収容者が政権崩壊前に別の場所に移されたとの情報もあり、刑務所から解放された人数は明らかになっていない。シリアでは内戦下で10万人以上が行方不明となっており、多くの家族が捜し続けている。

旧反体制派などは所在不明の秘密刑務所があるとして、関連の情報提供者に報奨金を出すと発表した。

民間団体「シリア民間防衛隊」のラエド・サレー代表はSNSで、バッシャール・アサド前大統領の亡命先のロシアに圧力をかけ、秘密刑務所に関する情報をアサド氏に明らかにさせるよう国連に要請した。

サレー氏は「残虐な犯罪を行った旧政権に責任を負わせることが必要だ」と訴えた。

参照元:Yahoo!ニュース