「アリシアクリニック」突然の破産 影響は9万人以上に 広がる戸惑い 従業員「きょう解雇を知った」

経営破綻をイメージした画像

医療脱毛の大手「アリシアクリニック」の運営法人が自己破産を申請した。

影響は9万人以上にのぼり、債権者数は過去最大規模だ。

返金の見通しがたたないということで、消費者からは困惑の声が相次いだ。

10日夜、『news zero』の取材に応じたのは、医療脱毛大手「アリシアクリニック」の従業員の女性。

「アリシアクリニック」従業員の女性∶「(9日の)夜まで働いていました。きょう(10日)朝起きて出勤したスタッフに聞いたら『会社が倒産して全員解雇になりました』というのだけを聞いたような形」

10日になって、解雇を知ったという。

それほど急転直下の破産だったのだろうか。

全国で43店舗を展開していた「アリシアクリニック」。

ホームページには「通われる患者さまが通いたくなるクリニックを目指しています」「『せっかく契約したのに予約が取りづらい』ということがありません」といった言葉が並んでいた。(※現在閲覧できないページ)

しかし10日に突然、全店舗が閉店した(帝国データバンクによる)。

その理由は、運営法人の破産だ。

利用者からは戸惑いの声が…

──契約したばかり?

10日前に契約(40代)「ばっかり。あした初回。1回も受けていない。どういう状況になっているのか聞きたくて、店に来てみたら閉店していて、(店舗への)エレベーターも(ボタンが)押せない状況で笑った」

この女性の契約書によると、全身などの脱毛コースで60分5回で5万2800円。

再来年の11月までサービスを受けられる予定だった。

──スタッフの対応について

10日前に契約(40代)「丁寧で1時間半くらいカウンセリングして、納得した上でお金も払ったし、クーリングオフあったし、何も疑うことなく、あしたに備えようと思った」

──いま思えば(予兆)とか?

10日前に契約(40代)「一切ない。一切ない。すごいにぎわっていた、お店自体は。受付にもいっぱいいたし、スタッフもいっぱいいたし」

ひげの脱毛などをしていた男性利用者は…

約1年半前に契約(20代男性)「顔全体10回ぐらいのものを追加契約。有名だったらという安心感が勝手にあった。自分が当事者になるとは。驚いています」

戸惑いは従業員にも広がっていて…

「アリシアクリニック」従業員の女性「頑張ってお金ためてきてくれていたお客さんもたくさんいましたし、申し訳ない気持ちが強いですね」

利用客に対する謝罪の言葉を話す一方…

「アリシアクリニック」従業員の女性「スタッフも突然職場を失って今、何をしたらいいかわからない状態なので、ちょっとあまりにもこれは、ひどいんじゃないかとは思います」

従業員約1500人も、10日に解雇されたという。

利用者への返金について、企業の倒産や事業再生に詳しい弁護士は「破産会社に十分な財産がない場合、利用者に配当という形での返金が行われない可能性もあり得る」としている。(弁護士法人 梅田パートナーズ法律事務所 西村雄大弁護士による)

その債権者数は9万1818人で、過去最大規模にのぼるが、実際、アリシアクリニック側は、まだ施術を受けていない分の返金については“現時点では極めて難しい状況”だとしている。

業界でも大手とされた医療脱毛クリニックの破産。テレビでもCMを流すなど、広く名を知られた企業がなぜ破産をするのか。

企業の破産の動向に詳しい専門家は、業界の競争激化と、脱毛というビジネスの課題が背景にあると指摘する。

──脱毛サロンの倒産が相次ぐ背景は?

第一生命経済研究所 永濱利廣氏「1つめは参入のしやすさ。脱毛の中には資格が必要なく参入できるサービスもある。それで参入が増えて競争が激化している。さらには脱毛というビジネス自体、脱毛してしまうとリピートがしにくいサービス。そういった面で新たな顧客をどんどん獲得していかざるをえない」

また、理由の1つとして…

第一生命経済研究所 永濱利廣氏「コロナ禍で外出しにくくなって、そもそもの脱毛するという需要が構造的に下がったというところはあるかもしれない」

アリシアクリニック側は来年4月下旬までに、財産状況の報告書をホームページに掲載する予定とし、問い合わせについてはインターネットで受け付けるとしている。

参照元:Yahoo!ニュース