特集「キャッチ」夢はCGクリエイター 不登校の少女が1分間の動画に込めたメッセージ 福岡

不登校をイメージした写真

福岡県内に住む不登校の14歳の少女が制作した動画が、全国から応募があったコンテストで最優秀賞に輝いた。

1分間の動画に込めた思いとは。

多くのキャラクターが登場ユニークな表情が印象的なキャラクターたち。

「何処(どこ)かの星の人」というタイトルで、SNSに投稿された動画。

制作したのは、福岡県内に住むレイマさん(仮名・14)さんだ。

レイマさん「“きゅうりん”と“ぽてとん”と“あおくん”だけだったけど、途中から“なすびん”が入ってきて、“キャロとん”が最後に入ってきた。ちょっと笑える要素を取り入れたりして、見て笑ってくれたらいいなという思いがあります。」

レイマさんはプロも使用するソフトを駆使して、3次元の立体空間やキャラクターを一から制作している。

夢は3DCGクリエイターだ。

2週間に1本のペースで、新作動画をアップしている。

レイマさん「もともと何かを作るとか、自分の想像でものを作ることが好きだったので、3DCGを教えてもらって、同じような物づくり系統で一番、自分の個性を発揮できると思って続けていくうちに、はまっていった。」

自宅のリビングが作業スペースだ。

レイマさんはここで多くの時間を過ごしている。

中学校には、ほとんど通っていない。

不登校になったのは、小学4年の時だ。

新型コロナの感染が広がり、一斉休校になったことがきっかけだった。

学校再開の前日、「朝起きるのがきつい」という気持ちが湧き、休校期間で経験したように、自分のペースで学べる環境の方が向いていると感じたという。

レイマさん「遊ぶの大好きだったし、人と一緒にいるのも好きだったけど、いないのもあまり気にならない。1人でもあまり気にしないタイプ。」

勉強も続けている昨年度、年間30日以上欠席した不登校の小学生と中学生はおよそ34万6000人に上り、11年連続で増加し過去最多となった。

中学生の場合、15人に1人が不登校だ。

4年以上、不登校が続くレイマさんですが、週に1回、放課後の時間帯に学校へ向かう。

レイマさん「提出物を出しに行ったり、もらいに行ったり。(学校行くの楽しみ?)そうですね。運動になるから。」

中学校のオンライン授業も毎日、受けている。

学習の場はほかにもある。

レイマさんはメタバースと呼ばれる仮想空間で行われる、不登校の子どもたちが対象の学習支援サービスを利用している。

スタッフ「今回のテストはどんな目標?」

レイマさん「平均点よりもちょっと超える。」

NPO法人が運営していて、サービスは無料だ。

レイマさんにとっては、先生やほかの利用者とつながる大事なコミュニケーションの場となっている。

学校や民間のサポートを受けながら、中学校の勉強にオンラインで取り組むレイマさんは、3DCGクリエイターという夢をかなえるため、動画制作やその勉強には、一日およそ5時間を費やしている。

そこまで夢中になれるものを見つけたのは、不登校になってからだった。

レイマさんの母「YouTubeを最初にやってみようと言ったのが小学4年の時。やっていい?と聞かれて、何でもやってみたらいいよと言って。キーボードとか何も習ってないのに、いつの間にかタイピングできるようになっていた。毎日、何か作るのを横で見てました。リクエストしたりして。すぐ作ってくれる。」

レイマさんにとって、母はそばで寄り添ってくれる一番の理解者だ。

そんな母が勧めてくれたのが、動画コンテストへの応募だった。

受賞した動画:動画ナレーション「学校に行きたくない君へ。ネットで偶然見つけたアート作品。それは私に新しい興味を与えてくれました。小学校卒業前には、自分で教室のアニメーションを作りました。これが私の夢。3DCGクリエイターになるきっかけです。」

この動画でレイマさんが挑んだのは、TikTokの「不登校生動画甲子園」だ。

およそ1分間のショート動画に、不登校になって夢を見つけた自分のリアルな思いを詰め込んでいる。

そのメッセージ性の強さや、映像の美しさが高く評価され、全国から集まった200以上の作品の中から、最優秀賞に輝いた。

レイマさん「私は好きなことを見つけたから、こういう感じにできているけど、好きなことがすぐに見つからない人もいる。でも、無理してすぐに見つけなくてもいいし、自分のタイミングで焦らずにゆっくりでいいかなと思う。」

作品が評価され、自信がついたというレイマさん。

動画は、こんなメッセージで締めくくられている。

動画ナレーション「学校でしかできない経験もたくさんありますが、不登校だからこそできる経験もたくさんあります。協力してくれる、理解してくれる人は必ずどこかにいます。あなたは一人じゃない。一歩踏み出すのに遅すぎることはありません。」

参照元∶Yahoo!ニュース