世界初の「アフロヘア」絵文字 髪型による差別打破へ挑む、ロンドンの若者ら

アフロヘアの女性を撮影している画像

2023年に行われたある調査では、黒人女性の66%が就職面接のために髪型を変えていることがわかった。

背景には髪の毛がストレートでないと魅力的とはみなされない、という「欧州中心の美的基準」があるとして、これをデジタルの力で打破しようとロンドンのグループが立ち上がった。

若者中心の団体「ライズ.365」と米国のPR会社グッド・リレーションズは、「アフロヘアの絵文字」制作に取り組んでいる。

同社によるとアフロヘア絵文字は世界初だという。

絵文字の国際規格管理団体である米カリフォルニア州のユニコードコンソーシアムには、人間の感情や物を表す記号である絵文字が4000近く登録されているが、黒人や多人種ルーツを持つ人の髪型を描いた絵文字は1つもない。

こうした現状を変えようと彼らは立ち上がった。

美の固定概念を打破し、デジタル世界をよりインクルーシブ(包摂的)なものにすることを目指して、ロンドンの若い学生と専門家のグループが、黒人や多人種ルーツを持つ人々の髪型を表現した絵文字をデザインした。

このプロジェクトは、テクスチャリズム(髪の質感に基づく差別)の問題を提起することが目的だという。

同グループによると、アフロヘアはしばしば「社会人らしくない」「魅力的でない」「不潔」と見なされることがあるという。

若者のグループが絵文字がどのような外観になるかをスケッチし、その後デザイナーが最終的な製品に仕上げた。

「(この絵文字は)髪の毛がストレートでないと魅力的とは見なされないという社会の基準を打ち破るだろう」と、このプロジェクトに携わったジェイジク・ダクさん(17)は言う。

「みんなが自分の髪に誇りを持って楽しんでくれればいいな」

アフロ、編み込み、コーンロウ、ロックスを表現した4つの絵文字が作成された。

これらはユニコードコンソーシアムに2025年4月に提出され、審査を受ける予定だ。

ライズ.365は、「アフロヘア」をグーグルで検索すると、絵文字の審査が通りやすくなる可能性があると話す。

ユニコードコンソーシアムは、絵文字に関連付けられた用語が、どの程度頻繁に使用されているかを考慮するからだという。

ユニコードコンソーシアムはロイターのコメント要請には応じなかった。

このプロジェクトの主任クリエイターであるオリビア・ムシゴさん(28)は、絵文字によって人々が「力を与えられ、実際に認められていると感じられる」よう願っていると語った。

ムシゴさん自身は髪の毛のことで差別を受けたことはないが、弟は経験したことがあるという。

「弟が自分に似た絵文字を持てることで、自信を高め、自分の髪が美しいと感じてくれることを願っている」とムシゴさんは語った。

ライズ.365のメンバー104人を対象にしたアンケートでは、61%が髪型が原因で差別やいじめを受けた経験があると回答した。

髪型に関する差別の研究と啓発を行うクラウン・リサーチ・スタディーズによる2023年の調査では、黒人女性の66%が就職面接のために髪型を変えていることがわかった。

アフロヘア絵文字をデザインしたバニタ・ブラウンさんは、こうした絵文字が今まで利用できなかった理由の1つは、欧州中心の美的基準が標準とみなされているためだと述べた。

ブラウンさんは、ストック画像における多様性の欠如も問題だと述べた一方、ムシゴさんはテクノロジー企業において黒人の存在が少ないことを指摘した。

「テクノロジー業界の多様性と包摂性が高まれば、私たちが住む世界の多様性を実際に表す絵文字がもっと増えるのでは」とムシゴさんは語った。

参照元∶Yahoo!ニュース