セブン&アイ買収、伊藤忠は出資で複雑な立場に

M&Aをイメージした写真

セブン&アイ・ホールディングスの買収を提案した同社の創業家は複雑な協力者を見つけた。

報道によると、買収総額は9兆円に達する可能性があり、ライバルであるファミリーマートを傘下に置く伊藤忠商事も資金を拠出する見込みだ。

ブルームバーグが情報筋の話として報じたところによると、創業家や伊藤忠などの企業連合が現金と株式で3兆円を出資し、借り入れを抑える方針。

セブン&アイに対してはカナダの小売大手アリマンタシォン・クシュタールも買収を提案しており、これに対抗する。

繊維、エネルギー、化学製品など幅広い事業を展開する伊藤忠は、食品卸売り部門を通じてセブン―イレブンとの既存の関係を強化する可能性がある。

外資系企業の買収に対するこうした防衛策は日本では過去にも見られる。

経営危機に陥った東芝は、2023年に国内の投資ファンドによって買収された。

同ファンドには20 社ほどが出資し、多くは関係がある企業だった。

伊藤忠の資金拠出は財務面では問題ないとみられる。

LSEGによると、同社の純負債は2025年度の予想EBITDA(利払い・税金・償却前利益)の2.3倍で、他の大手総合商社4社よりも低い。

また、同社の株式は住友商事や丸紅よりも市場で高く評価されている。

一方、過去1年間の株主総リターンは30%と、大手総合商社でトップだ。

しかし、セブンとファミリーマートを合わせると、国内コンビニ市場のシェアは70%になる。

これは恐らく高過ぎる。

地震などの災害発生時に、コンビニは国民に対して重要なサービスを最初に提供する役割を担うというのが、セブン&アイの非公式な立場だ。

大手コンビニチェーンが3社から2社に減少した場合、こうした役割が損なわれることになりかねない。

より議論の余地が少ない案としては、ファミリーマートとセブンの物流サービスを統合するという方法もある。

統合により両社がそれぞれ独自に配送ドライバーを抱える必要がなくなる。

ファミリーマートとセブンイレブンの店舗は隣接しているケースも多い。

また、高齢化が進む日本では深刻な労働力不足に陥っている。

伊藤忠はセブン&アイへの出資を当初20%未満といった低い水準に抑えることで、独占禁止法上の問題を回避できるかもしれない。

最終的に伊藤忠の出資が受け入れられるかどうかは、日本の政策当局者が競争と労働力の効率性のどちらにより重点を置くかによって決まる可能性がある。

参照元:REUTERS(ロイター)