現役の闇バイトリクルーター激白「逃げ場ない」「自首は裏切り」 恐怖支配の実態とは
首都圏を中心に強盗事件が相次いでいるが、実行役の多くがSNSで勧誘をされている。
番組では、闇バイトの実行役をSNSで募っているリクルーターから犯罪組織の実態について聞いた。
5日、犯罪ジャーナリスト・石原行雄氏とともに、SNSを通じて“闇バイト”のリクルーターに接触しました。
石原氏「もしもし」
“闇バイト”リクルーター「もしもし、今お電話よろしいですか?」
石原氏「はい、ありがとうございます」
リクルーター「分からないところは何がありますか?疑問なところは?」
石原氏「これニュースでよくやっている受け(子)出し(子)ってお仕事ですよね?」
リクルーター「そうですね」
石原氏が、Xの「即日即金」と書かれた書き込みにメッセージを送ると、秘匿性の高いメッセージアプリ「テレグラム」へ誘導され、やりとりを始める。
電話が掛かってくるまで、わずか1時間半のことでした。
石原氏「やっぱりニュース見ると、逮捕されている人がいるみたいなのがあるので心配」
リクルーター「これ結局、正直に言いまして、身内の方が依頼してくるんですよね。例えばそこの息子さんだとか娘さんとかが『ちょっと親が遺産をくれないんで、回収する方法ないですか』って言って。じゃあこういう方法でやりましょうかって」
仕事内容の一例として挙げたのが、「親の遺産を受け取りたいという息子や娘からの依頼」で「親の所へ遺産相続でお金を取りに行く」というものでした。
石原氏「必要な道具やモノは?」
リクルーター「それを次の担当者の方が。これも仕事の流れなんで。自分たちすみません、申し訳ないですけど。人を探す仕事をして『人を探してきましたよ。次どうぞ』で」
石原氏「●●さんはニュースでよくやっている、リクルーターって感じのお仕事?」
リクルーター「そうです」
話を続けると男性は気を許したのか、時折笑いを交えながら質問に答える。
そして、こちらが身分を明かすと、意外な反応を示したのです。
石原氏「実は私テレビ朝日の羽鳥慎一モーニングショーという番組の取材でご連絡させていただいて、いろいろお話をお伺いしていてですね」
リクルーター「ははは。そうでしたか、話し方が…」
石原氏「このまま、もう少しだけお話聞かせていただいてよろしいですか?」
リクルーター「はい、結局グレーな仕事ではあります」
石原氏「●●さんは何年ぐらいリクルーターをされてるんですか?」
リクルーター「この仕事に携わってはそれなり3年ぐらいしてますけど、(最初は)かけ子からですね。リクルーター自体はまだ半年ぐらいですね」
リクルーター「コロナがなければ、まだ仕事はあったと思います」
石原氏「コロナ前のお仕事はどういう感じ?」
リクルーター「派遣業です。それなりに仕事はありましたね」
石原氏「●●さん、年齢おいくつくらいな感じですか?」
リクルーター「40代なんですけど」
コロナで仕事を失い「かけ子」を始めたという男性…。
半年ほど前からリクルーターに“昇格”したといいます。
石原氏「収入と言いますか、月収とか年収はいくらぐらい?」
リクルーター「いい時もありましたけど、今は悪いですね。普通のサラリーマンで稼ぐ程度ぐらいに、少しもらっているような感じですかね。30~40(万円)ぐらいですね」
石原氏「月にですか?」
リクルーター「そうですね」
男性によると、リクルーターは自身が勧誘した人が闇バイトの“仕事”に成功すると報酬が支払われるという。
リクルーター「(闇バイトに応募してくるのは)いろいろですね。60代の方もいますし高校生ぐらいの方もいますし」
なかには女性からの応募もあるといいます。
リクルーター「(現場の配置などは)リーダーとかが決めるところなので、よっぽど信頼を得られれば『受け(子)』『出し(子)』。結局それは上の方が決めることで」
石原氏「●●さんのグループは、上の人たちっていうのはどういう感じの人たちなのでしょうか?」
リクルーター「もう『テレグラム(アプリ)』でしかつながってないので、分からないですね」
石原氏「(上層部と)通話とかは?」
リクルーター「ありますよ、通話だったりとか」
これまで3年にわたり闇バイトの世界にいるものの、いまだ首謀者や指示役は誰か分からないという。
男性はあえて「深入り」しないようにしてきたといいます。
リクルーター「これ(自分たち)も犯罪集団でしょうけど、犯罪集団からヤクザだったり、そんなところに引っ張られていくと、どんどん逃げ場がなくなっていきますので… 」
石原氏「●●さんのグループのリクルーターとか『かけ子』は国内でされているって感じなんですね?」
リクルーター「国内でしていますね。『もう家でもいいよ』って言われて、すぐ家でするようにしましたね。なるべく関わらないように…」
これまで闇バイトでメンバーを募り金をだまし取る特殊詐欺グループの多くは、東南アジアなど海外に拠点を置いていた。
2日に一連の強盗事件で初めて逮捕されたリクルート役とみられる男は、愛知県に住んでいた。
名倉優也容疑者(31)は「物品の運びの仕事」などとSNSで実行役を募集していたという。
番組の取材に応じた現役のリクルーターの男性も、「逮捕」が頭をよぎるという。
リクルーター「結局これが犯罪か犯罪でないかと言ったら、犯罪に加担したことになるのは事実ですよね 」
石原氏「やっぱりこのまま続けると、どうしても逮捕っていう可能性は出てくるとは思うんですよね。●●さんにはもうぜひ自首をしていただいて、今、自首をすれば、おそらくやっぱり量刑も低くて済むケースも多いと思うんですね」
自首を勧めた石原氏に、リクルーターの男性が明かしたのは“恐怖で支配されたグループの実態”でした。
リクルーター「自首すれば、それだけ自分の知ってることは言わないと、罪もたぶん軽くならないと思いますし。捕まれば話は別ですけど、自分からってなると結構厳しいんじゃないですかね。だって、自首は裏切りですよ。結局上の人間、悪い人間がどこのだれか分からないのに、こちらの情報は出してる。向こうの情報は分からない」
今回の一連の強盗事件で、実行役として逮捕された人物のなかにも「指示役」から脅されていたと供述する容疑者もいる。
先月、東京・三鷹市で起きた強盗未遂事件に関与したとして逮捕された佐圓昌紀容疑者(23)は、テレグラムで特殊詐欺に加担するよう持ち掛けられたとし、受信を拒否をすると、別のアカウントから「全部分かっている、逃げられないぞ」と脅しのメッセージが届いたという。
2日に東京・葛飾区で発生した強盗事件の実行役として逮捕された本橋日尚太容疑者(23)は、指示役に「空き巣は嫌だ」と伝えても「ここで引き下がるんじゃない」と脅されたという。
石原氏「制裁も怖いっていう意識もあったりっていうことなんですね?」
リクルーター「自分にある分には仕方ないと思いますけれど、身内の方にいくのはやっぱり、そこは怖いんじゃないですか。若い子とかもいっぱいいますけど、自首することは選ばないと思います。やっぱり怖いですよ。どこにいても裏切るっていうことは。今現在は心が揺らいでいる部分はありますけど、多分それでも自首はできないのかなと。でも(自首)できるように頑張ってみたいと思います」
参照元:Yahoo!ニュース