すでに“闇名簿”に載っているかも 他人事ではない“闇バイト”強盗 侵入されたら逃げ込むべき“ある場所”とは？今すぐできる防犯対策

住人を連れ去る・殺害するなど、凶悪化する“闇バイト”による強盗事件。

関東で相次いでいるとはいえ、“闇名簿”の流出により誰もがターゲットになる可能性があり、他の地域も他人事ではない。

2024年10月16日、神奈川・横浜市青葉区で住人男性が死亡し、約20万円が盗まれた。

同日、千葉・白井市では約20万円と車を盗まれた。

犯人らは直前にコンビニで集合していて、自ら“足跡”を残しているようなものだ。

そして、同月17日、千葉・市川市では現金と車が盗まれ、さらに住人女性を連れ去って監禁していたことがわかっている。

市川市の被害額は現時点では判明していないが、どの強盗事件も、多額の現金が奪われたわけではない。

また、白井市・市川市では車が盗まれているが、すぐに足跡がついて捕まりやすいので、プロの手口にはあまり見られないという。

これらの強盗事件の共通点について、犯罪ジャーナリスト・石原行雄さんに聞いた。

石原さんによると、「現場で車を奪ったり、暗証番号のために住人を連れ去るのは、捕まるリスクが高まる。実行犯だけでなく、指示役も“素人”だろう」と指摘しています。だから、犯行の手口も荒くなっていると言えます。

では、なぜそんな“素人集団”が生まれているのかというと、この構図だ。

犯罪組織のトップは、やはり暴力団など“反社会組織”だ。

その下に、いわゆる“半グレ”グループがぶら下がっていて、『特殊詐欺』『闇金』『闇カジノ』『強盗』など、それぞれに得意とする分野がある。

そして、その下に“闇バイト”でリクルートした人たちを雇っている。

石原さんは、「持ち場の犯罪で稼げなくなった“半グレ”グループが急に強盗を始め、手口が荒くなった可能性」を指摘している。

2023年に特殊詐欺が大きく検挙され、グループが次々と摘発されてきた。

特殊詐欺で稼ぎにくくなったからと急に強盗を始めたものの、下見なども含めて杜撰なことが多く、押し入った家に自分たちが思うような現金が置いていなくて、住人に必要以上の危害を加えてしまう―それが凶悪化の原因となっているという。

若者を中心に犯罪に手を染めてしまう“闇バイト”だが、借金を背負っている若者がターゲットになりやすい。

例えば、オンラインカジノで借金を作ったら、それを取り戻すために、今度は投資。

ただ、これも詐欺で、そこでさらに借金をしてしまい、雪だるま式に今度は闇金で借金。

また借金が大きくなって、最後に“闇バイト”で強盗などをさせられる、というパターンが多いという。

今度は、「どう防げばいいか」を考える。

まず、“ターゲットリスト”というものがある。

名簿もいろいろ流出していて、マンションなど不動産購入者・大手企業の退職者・貴金属購入者のリストなどが、普通に出回っている。

その複数の名簿を暴力団関係者で集めて、自分たちに都合の良いように“闇名簿”を作成する。

そして、情報収集を行う。

例えば、“アポ電”で話術巧みに家族構成や保有資産を聞き出したり、あるいは強盗用に、訪問販売などを装って現地に行って下見をしたりする。

これも話術が凄いので、住人側も“気が付いたら上げてしまった”ということもあるという。

そこで不在時間や家の間取りなどを確認する。

こうして作られたのが、“ターゲットリスト”だ。

名前・性別・住所・資産状況・家族なども細かく書かれていて、備考として「昼間不在」「株も持っている」などを聞き出して、リストを作成する。

特殊詐欺の場合は、このリストの上から順に、片っ端からかけていく。

強盗の場合は、“隙がある家”をリストから抽出して狙う。

情報は常に更新していて、最終的なターゲットを絞り込んでいくという。

プロは、住人がいない時を狙って窃盗、つまり空き巣をする。

しかし、半グレの下にいる“闇バイト”は強盗でもやってしまうということが、現実として起こっている。

「名簿の流出を止められないのか」というところが焦点になってくるが、石原さんによると、「企業の個人情報の管理が甘い。流出させると個人は罰せられるが、企業側はお咎めなし。罰則強化が必要」という。

不動産関係の大手不動産を装ったサイトなどで、「何人でお暮らしですか？」「資産はどのぐらいありますか？」「どういう家を希望ですか？」みたいなアンケートや、「ゲーム機をプレゼント」「クオカードをプレゼント」と謳う気軽なアンケートなどがありますが、こういったものに答えてしまうと、名簿流出のきっかけになるという指摘もある。

身近なところで何とか防ぐために、まずは「タンス預金は内緒」にしてしよう。

近所の人であっても、そこから情報が漏洩する。

また、「タンス預金」とは言わなくても、「銀行は信用できない」といった発言でも情報を与えてしまうことになるので、大前提として注意が必要だ。

また、“居留守”を使うことが、身を守る方法だという。

例えば、リフォーム会社を装った2人組がやって来て、インターホンに応じてしまうと、言葉巧みに家に上がり込む。

すると、玄関に入った瞬間に、靴の数で家族構成がわかってしまう。

話しやすいと思って気を許し、居間に上げてしまうと、「屋根が壊れています。リフォームしましょうか？」などと言われ、一人が住人を連れ出して案内する。

その間に、もう一人が家を物色して、金品の在り処を探し出す。

「無料点検です」と、いきなりやって来る人たちにも気をつけたほうが良い。

自分できちんと正しい所にアポを取って、まずはインターホン越しに…というのが大切だ。

そして、重要なのは『見せる防犯』だ。

センサーライトは玄関だけでなく、側面・裏口にもつけていると、「防犯意識が高い家」ということになる。

また、窓に貼る防犯フィルムは、鍵の部分だけではなく、全面に貼るのが効果的だ。

ハンマーで窓を叩かれたとき、飛散フィルムは貼っていてもガラスが割れてしまうが、防犯フィルムを全面に貼っていれば、ヒビは入るものの押しても割れない。

ただ、防犯フィルムが小さいと周囲が割れてしまうので、今つけている方は全面に貼り替えたほうがいいと思う。

さらに、音も重要だ。

『防犯用砂利』を家の周りに敷き詰めることで、家の中にいても音で反応できますし、「この家は防犯意識が高い家だ」とわかる。

特に、寝ているときが不安だという人は、この砂利を敷き詰めておくと良い。

これだけいろいろやっていたら、犯人側も「この家は侵入しづらい」と考える。

普通なら、『5分』侵入しづらいと思わせるだけで、犯人は去っていくという。

ただ、今は凶悪化しているので、奇襲攻撃を受ける可能性もある。

もし奇襲攻撃された場合、“最後の砦”はトイレだ。スマートフォンを持ってトイレに駆け込めば、鍵をかけて籠城できる。

寝室や小さな部屋だと、強盗犯に開けられてしまう恐れがあるが、トイレにはあまり意識が向かないため、籠城して助けを求めてほしい。

寝る時は、スマホを枕元に置いておくことも大切だ。

ですが、万が一強盗と鉢合わせてしまったら、命が最優先だ。

現金を渡し、カードの暗証番号なども伝えた上で、110番してくださいという。

参照元：Yahoo!ニュース