ハリス氏陣営、「労組の男性」の支持確保に苦心

アメリカ大統領選をイメージした画像

11月5日の米大統領選が数日後に迫った中で民主党候補、ハリス副大統領の陣営は一部の労働組合で男性ボランティアを確保するのに苦心していると労組幹部が明らかにした。

電話や戸別訪問で投票を呼びかけるボランティアは、民主党支持者らを投票所に向かわせるのに重要な役割を担う。

大半の労組は長年、民主党候補を支持してきた。

ハリス氏とバイデン大統領は労働協約交渉で労組を支援し、労働者の権利を守ってきた。

しかし、共和党候補のトランプ前大統領も近年、労組メンバーに食い込んでいる。

今回のような接戦で労組メンバーのハリス氏支持が少しでも弱まるようならば、勝敗を左右する決定打になりかねない。

ハリス氏の勝利には、性差別と人種差別がハードルになると指摘されてきた。

米労働総同盟産別会議のリズ・シューラー会長は、ハリス氏への支持熱は強いものの、一部の労組では性差別が支持の障害になる可能性があると指摘。

「正直に言えば、女性候補というだけで大統領にふさわしくないと切り捨てる人々がいる。ドナルド・トランプ氏に対しては誰もそんな視点で疑問視することはない」と語った。

シューラー氏によると、こうした男性に戸別訪問で接触するのは難しいため、AFL─CIOは職場訪問で対応している。

その方が、彼らの懸念にこたえる会話を持てる可能性がずっと高いからだ。

電気工事士や配管工など、圧倒的に男性と白人が多い建設関連の労組メンバーで問題は特に深刻だ。

これに対し、メンバーの多様性が大きい大規模なサービス業労組では、男性からのハリス氏支持が下がった分を女性からの支持急増が補い、性差ギャップが拡大していると関係者らは言う。

国全体でもこうした現象が広がっており、選挙結果を決する要因になるかもしれない。

ロイターの調査では、ハリス氏は女性、特に白人女性の支持が増えている。

一方、トランプ氏は2020年の前回大統領選よりも男性の支持率が高くなっている。

デラウェア州AFL─CIOのジェームズ・マラベリアス会長は、男性労組メンバーの間でハリス氏の支持が弱いのは、社会問題に関してリベラル色の強いハリス氏の経歴に加え、一部では男性優越主義も影響していると言う。

AFL―CIOで戸別訪問をしている6人に取材したところ、ハリス氏と民主党は労組の権利の強力な保護者だと考えている家庭がある一方で、民主党への信頼を失ってトランプ氏の方に共感する家庭もあるという。

1人は、「男性が最も手ごわい。反論を挑みたがり、事実関係について意見が一致しない」と語った。

AFL─CIOはフィラデルフィアではボランティアが期待通りには集まらなかったため、従来のハリス氏支持者に的を絞らざるを得なくなったと関係者が話した。

ロイター/イプソスの調査によると、労組メンバーの米国民、もしくは家族に労組メンバーがいる米国民では、ハリス氏の支持率が47%と、トランプ氏の36%を引き離している。

調査は10月16─21日に655人を対象に実施した。

ハリス氏陣営の広報担当者、ローレン・ヒット氏は、大学教育を受けていない男性有権者からの支持は急低下しても、大学教育を受けていない女性の支持増加で相殺できる可能性があると述べた。

トランプ氏陣営からはコメント要請への回答が得られていない。

AFL─CIOによると、激戦州のミシガン、ペンシルベニア、ウィスコンシンの3州で労組メンバーは有権者の5分の1を占める。

3州は、伝統的に民主党が強いため「ブルー・ウォール(青い壁)」と呼ばれる。

これら3州では、投票を呼びかける民主党の運動において労組が重要な位置を占め、労組メンバーが投票日前に何千戸ものドアをノックして回るのが慣例だ。

全米塗装工連合組合(IUPAT)のジミー・ウィリアムズ会長は、同組合では男性のハリス氏支持が減った分を、女性の支持が補って余りあると指摘。

「ペンシルベニア、ミシガン、ウィスコンシン、オハイオの各州で女性メンバーと話したが、だれ1人としてドナルド・トランプ氏を支持している人はいなかった。だれ1人として、だ」と強調した。

参照元:REUTERS(ロイター)