トランプ氏、激戦州で「不正」主張強める 有権者登録の疑惑が背景に

虚偽の情報を発信している人をイメージした画像

米大統領選(11月5日投開票)の激戦州である東部ペンシルベニア州を巡って、共和党のトランプ前大統領が「大規模な不正行為が行われている」との主張を強めている。

有権者登録の不正申請が相次いだことが背景にあるが、支持者がソーシャルメディアに投稿する「不正」には一方的な主張もあり、選挙管理当局が反論する事例も出ている。

「大規模な不正の情報を得た。発表し、刑事訴追しなければならない」。

トランプ氏は10月31日、自身のソーシャルメディアにそう投稿した。

30日にも「ペンシルベニアはこれまで見たことのない不正をしている。当局に通報してほしい」と投稿していた。

トランプ氏は「不正」の内容を説明していないが、同州で相次ぐ有権者登録の不正申請が念頭にあるとみられる。

同州のランカスター郡では10月25日、検察当局が有権者登録の不正申請事件で捜査を始めたと発表した。

登録締め切り直前に申請された約2500件の一部に不正の疑いがあるという。

米メディアによると、隣接するヨーク郡も、同時期に一斉に申請された約3000件を審査。

約24%の申請が却下されたほか、約29%は情報が不十分だとして登録を保留され、検察当局が経緯を調べている。

一方、トランプ氏の支持者の間では、期日前投票で「違法な投票者が列に並ばなかった」という主張がネット交流サービス(SNS)で拡散されている。

「英語を話せない“市民”がバスで来て、何時間も並んでいる米国人を抜かすよう誘導された」とするX(ツイッター)への投稿に、トランプ氏を支持する実業家のイーロン・マスク氏が「これは本当か?」と返信したことで、情報はさらに拡散した。

この動画が注目された背景には、市民権(国籍)のない住民による違法投票をトランプ氏が疑っていることがある。

同州の有権者登録では、市民権の有無を審査する仕組みが整備されておらず、毎日新聞の取材でもスーダン人の難民が実際に有権者登録している事例が確認された。

ただ、地元のアレゲニー郡当局は動画について「郵便投票の申請に来て、通訳の助けが必要なグループがいた。郡当局者は、高齢者や障害者を除いて、列の最後尾に戻るよう指示した」と説明。

「有権者登録するのは米国市民だけだ」と疑惑を否定した。民主党は市民権がない住民の投票について「違法であり、あったとしても極めて例外的なものだ」としている。

トランプ氏は2020年大統領選で敗れた際、「大規模な不正があった」と主張して敗北を認めなかった。今回も事前に不正を訴えて、落選した場合の「布石」を打っている面がある。

参照元:Yahoo!ニュース