船井電機のように「出社したら倒産」とならないため「すぐ逃げるべき5%の会社」を見極めるシンプルな方法

困惑しているビジネスマン

朝、出社したら会社が倒産していた!

船井電機倒産のニュースが世間を驚かせている。

破産手続きを開始したのだが、全従業員2000人がいきなり解雇されることになった、という。

事業継続を図るのではなく、いきなり全員クビというのも驚きですが、当事者としては人生の一大事だ。

Yahoo!ニュースのコメントでも指摘したのだが、いきなり倒産、となるとどうなるだろうか。

まず、理屈としては「給与と退職金は優先扱いで銀行等の債権より先に支払われる」ことになる。

ただし報道では25日の給与振込は行われていないとしており、いつ、どれだけ戻ってくるかは不透明だ。

「雇用保険の求職者給付(いわゆる失業給付)は2カ月の待期なしにすぐにもらえる」ことになる(7日待期のみでよい。自己都合退職の場合、2カ月+7日待たないと受けられない)。

これはまさに倒産時の社員を助ける仕組みなわけだが、手続きに行くのも大変であるし、そこから転職活動をはじめることになる。

すでに転職活動中の人たちに交じり、また同じ会社の2000人もライバルとなっての就職活動は苦労することになるだろう。

できることなら、「つぶれる、予兆」に気がついて、先に逃げ出したいものだが、そんなシグナルはあるのだろうか。

よく確認したいのは、社内の雰囲気だ。

特に社長と役員クラスの動きには注意したいところだ。

小さな会社であれば社長の部屋の雰囲気(社長がピリピリしていて、しょっちゅう外出している。やたらと電話が鳴っていてお詫びしている声が聞こえてくるなど)である程度「ヤバさ」を察することができるはずだ。

そこそこの企業規模であれば、社長や役員の入れ替わりが相次いでいたら危険なサインだ。

外部の支援を得て、なんとか会社を存続させる取り組みなのだが、上手くいっていない可能性がある。

特に銀行から役員がやってきて、ピリピリしているようならこれも危険信号だ。

職場で新入社員はなく、辞める社員が増えているとしたらこれも危険なシグナルだろう。

自分以外の同僚は、「この会社ヤバいから先に出るわ」と判断しているからだ。

かといって補充をする余裕はない(採用すれば人件費がかかるのでできれば増やしたくない)わけだ。

人員不足により業務に支障が出始めているなら、これはもう赤信号といってもいいだろう。

たとえ、会社が社員に対して「わが社は大丈夫」と説明したとしても、これ自体を安心材料とみないことだ。

「お金系のトラブル」も会社のヤバさを示すサインのひとつだ。

特に給与、賞与の支払いに問題が出始めたら、会社の寿命はあまり長くないと考えてほしい。

給与の遅配が一度でもあったら、転職活動は絶対にスタートしよう。

安定的な生活が成り立たなくなる。

一度あったら何度か続く可能性が高い。

昔はくれていたのに最近は賞与がゼロ、あるいはちょっとしか出ないというのも黄色信号だ。

近年の会社は業績に賞与を連動する傾向がありますが、給与を遅配する前に、ゼロ支給としてしのぎたいのは賞与だ。

賞与ゼロは「ヤバい」サインだろう。

そしてもうひとつ、給与、賞与は今のところ出ているけど、「実はヤバいかも」の目安が「賃上げ」だ。

先日公表されたばかりの厚生労働省の調査によれば、2024年の平均賃金の上昇率が4.1%となっている。

引き上げ額の平均は1万1961円だった。

もちろん中小企業のほうが上昇率は低くなりますが、「賃金を引き上げた・引き上げると答えた企業は91.2%」となっていて、今年給料が上がらなかったのは全体の8.8%しかない。

「賃上げはないけど、給与をちゃんと払えば大丈夫じゃないの?」と思うかもしれないが、実はこれ「実質マイナス」だ。

ここ数年、物価が上昇しているのはご存じのことだろう。

モノの値段が上がったのなら相応の給与アップがなければ同じモノが買えないことになる。

ちなみに昨年度と一昨年度の物価上昇率は以下のとおり。

2023年度 +2.8%

2022年度 +3.0%

今年に限らず「去年」と「一昨年」も含めて3年間一度も給料を上げてない会社は全体の5%以下と思われる。

ざっくり言って、この3年間くらいで給料が5%くらい上がっていなければ、会社は物価に見合う賃上げをする力がない(あるいはしなくてもいいと思っている)会社ということだ。

十分に転職活動をする理由といえる。

逆に危なくないかも、のサインは「早期退職募集」だ。

退職金に賃金1年分あるいは2年分の年収を上乗せして○百名の退職を募集、なんて聞くと「この会社ヤバい?」という気がするが、本当にヤバいと、会社は上乗せ退職金なんか出せない。

むしろ余裕のあるうちに、事業と人員の整理をしたくて、自分から手を挙げる人を待っているのが早期退職募集といえる。

――いくつか会社がつぶれるかもしれない「ヤバい感じのサイン」を紹介してみた。

何かひとつでも気になることがあったら、転職活動は始めておこう。

「出社してみたら、会社はつぶれてクビになった……」というのはやはり辛い。

参照元:Yahoo!ニュース