渋谷に「ジベタリアン」再び 大規模開発で居場所なくなる 若者の街がビジネスの街へ

若者の街とされてきた東京・渋谷が、若者がたむろできない街に変化しつつある。
行き場を失った若者が座り込む、かつての「ジベタリアン」のような現象も見られている。
芝生の上に座ったり、横になったりと思い思いにくつろぐ人々。
若者たちが大勢詰めかける、渋谷の商業施設屋上にある宮下公園。
なぜ、この場所がこんなに若者であふれているのだろうか。
若者の街、東京・渋谷。
外国人観光客が激増し、街は人であふれかえっている。
そのためカフェは混雑。
休日の大行列は、日常的な光景だ。
渋谷に来た若者(20代)「(Q.渋谷でカフェは行く?)行きます。混んでいるイメージ」「入れないイメージあります。駅前のスターバックスとか」
「(Q.渋谷って並ぶこと多い?)多いですね。ほとんど並んでいます。頑張って空いている所を探して座る」
どこもかしこも人でいっぱい。一息つける場所が減りつつある渋谷の街。
その要因として挙げられるのは…。
チェーンストア研究家兼ライター 谷頭和希氏「治安的にあまり良くないというところで、そういう人たち(若者)をたむろさせない方向になっていく中で、若い人たちがお金を使わずにだらだら居られる街ではなくなってきたというような変化があるのかなと思いますね」
渋谷を歩いてみると、そこには明らかな変化があった。
谷頭氏「あんまり長居させないというのがベンチとかでもあるので、ちょっと座りづらいみたいなことがある」
若者をたむろさせないように、ベンチの形は変化し、数も減った。
1990年代以降現れた「チーマー」や「コギャル」と呼ばれる若者が、我が物顔でセンター街を闊歩(かっぽ)。
そんな渋谷で問題視されたのは、こんな行為だった。
谷頭氏「“ジベタリアン”と言われているような、路上にたむろをするような人たちもセンター街中心にいっぱいいたんですが。だんだん治安の観点から、やめてくださいねというふうになってきて、そういう中で若い人たちが、たむろできる場所としての渋谷というのが変化してきたのかなと思いますね」
徐々に変化してきた渋谷の街は今、100年に一度といわれる大規模な再開発の真っただ中だ。
渋谷駅東口に新たにオープンした「渋谷アクシュ」。
商業施設とオフィスビルが混合した複合施設だ。
若者の街・渋谷は、ビジネスの街にも変貌しようとしている。
渋谷開発事業部 プロジェクト推進第二グループ 田邊秀治担当部長「オフィスを求められる方々が渋谷駅の立地・利便性を重要視していただいているのと、渋谷が働くことと遊ぶことが近い街だと認識していまして、ビジネス環境としての渋谷の評価が上がっている」
渋谷で進む再開発では、ここ12年で9棟ものオフィスビルが駅周辺に誕生している。
田邊担当部長「ここ何十年かで渋谷は非常にオフィスが増えておりまして、若者だけでなく働く場所としての渋谷の位置づけも、かなり上がっているかなというふうに実感しております」
渋谷の街で、たむろできなくなった若者たちが集まるのが宮下公園だった。
渋谷に来た若者(20代)「行く場所が特にない時とかに、とりあえず行ってみるみたいなのはあるかもしれない。無料休憩所みたいな」
渋谷に来た若者(10~20代)「渋谷ってすごく混んでいるので、すいているところで涼みたいなと思って、芝生だと席が決まっていないのでくつろいでいた」
まるで一昔前の「ジベタリアン」を思わせるほど、若者が集まっている。
谷頭氏「かつてに比べると(若者が)いろんな所にいるというよりかは、やっぱりこの公園っていう場所に集まっているっていう感じはする」
この先、渋谷はどのように変化していくのだろうか。
谷頭氏「より便利さというのは増していく街になるのかなと思う。もしかすると、そういう憧れも持たれないような、本当に便利な街だよねというイメージしか持たれない街になってしまうこともあり得るんじゃないかな。今一度、渋谷という街をどうしていきたいのかをいろんな人で考えていく必要があるのかなというふうに思う」
参照元:Yahoo!ニュース