中国買いの投資家、持久戦覚悟で様子見 景気刺激策など見極め

中国の資産を買っている世界の投資家は、先月の上昇が続くと見込んでいるが、経済と企業業績の改善を示す具体的な兆候が見られるまで大口投は控える姿勢を示している。
投資家心理の変化は急激で、インドや日本に流れていた数十億ドルの投資家資金は急速に中国へ回帰し、中国向けエクスポージャーは過去最低付近から「中立」または「マーケットウエート」に回復した。
バンク・オブ・アメリカが10月中旬に公表した調査によると、中国の資産に投資しているアジアのファンドマネジャーの割合は、1カ月間で8%から31%に急拡大する一方、中国以外の国に投資機会を求める運用担当者が同程度減少した。
しかし市場はこれまでの高値からすでに10%下落し、先週の第3・四半期の国内総生産(GDP)で、経済成長率が2023年初頭以来のペースに鈍化したことが示された。
投資家は持久戦の準備をしつつある。
HSBCグローバル・プライベート・バンキング&ウェルスのグローバル最高投資責任者(CIO)ウィレム・セルズ氏は「株価上昇の第2段階で最も重要になるのは、政府が消費者需要を刺激できるかどうかだ」と指摘する。
「これからより詳しい内容が出てくるだろう。市場は財政刺激策の具体的な規模を知りたがっている。それが明らかになれば株価はさらに上昇する余地があるが、われわれはまだ中立スタンスだ」と語った。
中国は現在、株式市場への資金の流出入を示すタイムリーなデータを公表していない。
だが出来高とモメンタムの低迷は、投資家が今回の景気刺激策に対して疑念を抱きながら様子を見ていることを示している。
中国に投資する米上場投資信託(ETF)に大量に流れ込んだ資金は、多くがとどまったままだ。
DWS(ニューヨーク)のXトラッカーズ米国商品責任者ヘンリー・ウー氏によると、中国株式市場のCSI300指数をベンチマークとするETF、Xトラッカーズ・ハーベストCSI300に9月下旬以降22億ドル以上の資金が流入。
「投資家はここで様子を見ている」という。
外国人投資家は中国のハイテク企業や電子商取引企業が魅力的とみている。
電子商取引企業は消費の改善による恩恵を受けやすく、株価が比較的割安で、多くのキャッシュを生み出している。
その一方で、株価が低水準で値動きの荒い不動産開発会社にはほとんど手を出していない。
確かに地政学リスクや中国の変わりやすい規制を警戒して本土市場から撤退した投資家は多く、また中国経済がどれだけ力強く回復するか懐疑的な投資家もいる。
それでも中国の株式市場に対するムードは、嫌悪から監視、待ち、打診買いへと移りつつある。
エドモンド・ドゥ・ロスチャイルド・アセット・マネジメントのベンジャミン・メルマンCIOは「われわれは投機家ではなく、投資の戦略を構築している。間違っているより遅れている方がましだ」と話した。
参照元:REUTERS(ロイター)