全国コアCPI、9月は+2.4%に鈍化 米類は49年ぶりの高い伸び

総務省が18日に発表した9月の全国消費者物価指数(生鮮食品を除く、コアCPI)は108.2となり、前年同月比2.4%上昇した。
政府の電気・ガス価格の抑制策の影響でエネルギー価格の上昇幅が大きく縮小し、コアCPIの伸び率は前月の2.8%を大きく下回った。
伸び率鈍化は5カ月ぶり。
全国的に品薄となった米類が1975年9月以来49年ぶりの上昇率を記録、生鮮食品を除く食料は伸び率を拡大した。
コアCPIの伸び率はロイターがまとめた民間予測2.3%上昇を上回った。
エネルギー価格は6.0%上昇と、前月の12.0%上昇から伸び率が半分になった。
電気代は15.2%上昇、都市ガス代は8.3%上昇で、ともに前月を大きく下回った。
政府の「酷暑乗り切り緊急支援」で総合指数を0.55%ポイント押し下げた。
宿泊料は6.8%上昇で、夏休みで観光需要が高まる8月の9.5%上昇から伸び率が鈍化した。
一方、生鮮食品を除く食料は3.1%上昇と、8月の2.9%上昇を上回った。
米類は44.7%上昇。
このうち、うるち米(コシヒカリを除く)は46.3%上昇となり、比較可能な76年1月以降で最高の伸び率。
なお、不作の影響で、現在のうるち米(コシヒカリを除く)に相当する「上米」は94年4月から同7月まで指数が欠落している。
コア指数の対象522品目のうち、上昇は394、下落は91、変わらずは37。
上昇品目数は5カ月ぶりに増えた。
コシヒカリを除くうるち米のうち、24年産の新米で生産や運送にかかるコストが価格に上乗せされるなど、食料や外食などで原材料コストの転嫁が広まった。
生鮮食品およびエネルギーを除く総合指数(コアコアCPI)は2.1%上昇で、前月から伸び率が小幅に拡大した。
財・サービス別では、サービス価格が1.3%上昇に小幅鈍化した。
宿泊料の伸び率縮小が要因。
総務省は25日に10月の東京都区部CPIを発表する。
日銀が目指す賃金と物価の好循環の持続性を占う上で、価格改定が集中する10月にサービス価格がどういう数値になるか、日銀は注視している。
9月の都区部CPIでは、サービス価格は0.6%上昇した。
みずほリサーチ&テクノロジーズの酒井才介・主席エコノミストは、政府による価格転嫁の促進や人手不足による需給引き締まりを受けて企業の価格転嫁意欲がさらに積極化することも考えられるとし、10月にサービス価格が加速する可能性は「十分考えられるのではないか」と指摘する。
一般サービスの授業料や家賃など、価格改定頻度が低い「岩盤」品目の動向を注視したいとしたほか、米類などの価格上昇も相まって外食などでも値上げの動きが広まる可能性が考えられるとみている。
ただ、大手牛丼チェーンでは期間限定で値下げの動きが出てきた。
家計が節約志向を強めている中で「企業の価格転嫁が思ったより進まないという可能性も否定はできない」と話す。
参照元:Yahoo!ニュース