駅前でみかける「1個300円」モモの路上販売、法的にはどうなの? 警視庁に聞いてみると

東京都内の駅前や路上でモモが売られているのを見たことはあるだろうか。
大きな文字で1個300円などと値段が書かれ、軽トラックやカゴに積まれた状態で販売されているようだ。
記者が地下鉄・東西線のある駅の前で見かけたケースでは、モモ以外にも、メロンが小玉2個500円で販売されていた。
車のナンバーを見ると東京都外のものだった。
こうした果物の路上販売についてはX(旧ツイッター)でも度々、話題となっている。
「素性不明の桃は絶対に買わないでください」
「駅前で軽トラで売ってる男2人組の激安の果物はほぼ盗難品だよ」
「路上販売の許可を取っているのか?」
こうした声が上がる背景には、山梨県などで果物の盗難被害が相次いでいることがあるとみられ、盗難品が現場から離れた東京に運ばれてきて売られているのではないかと疑っている人がいるのかもしない。
このように駅前や路上で果物を販売する場合、何らかの許可が必要になるのだろうか。
また、駅前や路上での販売の許可を得ていることを第三者が認識できる印のようなものはあるのだろうか。
警視庁に問い合わせると、次のような回答があった。
・道路交通法第77条第1項第3号において、場所を移動しないで道路に露店、屋台店、その他これらに類する店を出そうとする者は当該行為に係る場所を管轄する警察署長の許可を受けなければならないとされています。
・また、道路の使用を許可した場合は、警察署長は申請者に道路使用許可証を交付しています。食品衛生法上の営業許可、届出については管轄の保健所が窓口となっております。
つまり、駅前や住宅地でみかける路上販売には正式な手続きが必要であり、気になる人は道路使用許可証を取得しているかどうか確認してみると良いだろう。
なお、「盗難品」である場合には、次の犯罪が成立する可能性もある。
売主が桃を自分で盗んできた場合には、当然ですが窃盗罪(刑法235条。10年以下の懲役または50万円以下の罰金)が成立する。
売主が、盗品を仕入れている場合、それが盗品だと分かって仕入れていれば、盗品有償譲受罪(刑法256条2項。10年以下の懲役および50万円以下の罰金)が成立する。
盗品、しかもどこか素性がわからないもの(例、動物園の餌を盗んでくるとか)を「山梨県産地直送新鮮果物」などとして販売すれば、購入者に対する詐欺罪(刑法246条1項。10年以下の懲役)が成立する。
以上みてきたように、自らが盗んできた品や、買い受けた盗品を、事情を知らない人に売却した場合には、仮に前者なら窃盗罪と詐欺罪になる、といえる。
この場合、この2つの罪の関係が問題となる。
後の詐欺が、前の窃盗で評価され尽くしていると考えると、後の詐欺罪では処罰されないことになる(「共罰的事後行為」などという)。
しかし、本件のようなケースでは、窃盗罪と詐欺罪はそれぞれ別の被害を生んでいるため、併合罪(刑法45条前段)になると考えられる(最判昭和25年2月24日、最決平成14年2月8日、東京高判平成10年12月10日等参照)。
この場合には、重い罪の1.5倍までの刑を科されることとなる(刑法47条前段。最長15年。ただし実際にはここまで重くならないだろう)。
なお、盗品だと分かっていて桃を買った場合には、買った客にも「盗品有償譲受罪」が成立しかねない。
一般的には、盗品とわかって購入するような機会はないはずであるから、この罪に問われる可能性はほぼないと言ってよいだろう。
参照元:Yahoo!ニュース