中国の個人消費に光明 大型連休中の旅行者増

中国の国旗を撮影した写真

中国の個人消費に明るさはないかと目を凝らしている投資家にとって、1─7日の国慶節(建国記念日)連休を巡るデータは小さな朗報となりそうだ。

公式推計では、国外旅行者数は1日平均で前年比19%増加し、コロナ禍前の人数を上回った。

マカオのカジノにも旅行客が戻っている。

中間層の支出が増えれば、中国政府の景気刺激策に弾みが付くとの期待も高まるだろう。

富裕層の旅行は間違いなく活発化している。

HSBCの調査によると、連休初日の国外旅行者は前年比40%も増えた。

オンライン旅行代理店、トリップドットコムのデータでは、長距離航空便の予約はコロナ禍前を上回り、欧州便に至っては30%も跳ね上がった。

スマートフォン決済サービス「アリペイ(支付宝)」によると、国外旅行者は国際利用できるカードを使って支出を120%増やした。

一方CLSAによると、マカオでは連休最初の3日間、中国本土からの旅行者が2019年同期の水準を6%上回った。

シティの調査では、大衆の中でも富裕な「プレミアム・マス」層の掛け金は、1人当たりの額はわずかに減ったものの、人数が増えたため合計では過去最高を記録した。

こうした初期の傾向を見る限り、中国の中間層は以前考えられていたよりも財布のひもを緩めることに前向きなのかもしれない。

ただ成長減速と不動産危機を背景に、今年は内需が低迷を続けており、8月の小売売上高は2.1%増と、アナリスト予想の2.5%を下回った。

かつて中国本土から買い物客が押し寄せた香港も、小売経営協会によると大型連休中の本土からの旅行者数は「通常の週末並み」にとどまった。

本土の興行チケット販売額も昨年の大型連休に比べて低調で、10億元(1億4300万ドル)に達するのが昨年より1日遅かった。

こうした好悪相半ばするデータから察するに、個人消費は特定の層だけで勢いを増しているのかもしれない。

支出の慣行も変化しており、旅行者はモノよりも経験に資金を投じていることがアリペイのデータからうかがえる。

とはいえ、部分的にでも個人消費が回復していることは、中国政府にとって喜ばしいだろう。

大型連休の直前、当局は包括的な金融緩和と不動産支援策を打ち出すとともに、追加策の実施を示唆した。

大型財政支出への期待から香港の主要株価指数は25%も上昇した。

中国の消費者信頼感にある程度持ち直しの兆しが出てきたことは、この勢いに弾みを付けそうだ。

参照元:REUTERS(ロイター)