妊娠7カ月で死産 病院の対応に「救われた」 家族のケア、広がる取り組み

日本では年間約1万5千人の赤ちゃんが死産で亡くなっている。
流産は妊娠した人の15%が経験するとされる。
流産や死産はタブー視されがちだが、悲しみに暮れる家族のケアに取り組む自治体は少しずつ増え、支援の手がかりにしてほしいと、自治体や医療機関との連携を模索し始めた自助グループもある。
宿した命を失ったつらさに寄り添うには、どのような対応が求められるのか。
10月9~15日は、亡くなった赤ちゃんと家族に思いを寄せる国際的な啓発週間「Baby Loss Awareness Week(ベビー ロス アウェアネス ウイーク)」。
福岡県苅田町の子育て支援施設に6月、流産や死産を経験した人でつくる自助グループ「花はすお話会」(同町)の集まりが開かれた。
約10人がテーブルを囲み、メンバーの中田純子さん(41)が5年前の経験を語った。
中田さんは妊娠7カ月で死産を経験した。
深い喪失感の中、助産師から「すぐにお別れをする必要はないですよ」と声をかけられたという。
共に生きることがかなわなかった赤ちゃんを沐浴(もくよく)させ、添い寝した。
手形と足形も取った。
「悲しみのどん底で、わが子と過ごす時間をくれた病院の対応に救われた」と振り返った。
赤ちゃんとの死別などによる悲しみを癒やす「グリーフケア」を目的に昨年10月に立ち上がった同会だが、定期的に開く集まりには今年4月から周辺自治体や医療機関の職員らの参加も呼びかけている。
メンバー同士で体験を語るうちに「この声を自治体などにも届けて、温かな配慮ができる社会にしてほしい」と考えたからだ。
「死産した子どもの沐浴を希望したのに病院に断られた」「死産後の行政手続きを病院に尋ねたところ、全て自分で調べるように言われた」。
この日の集まりでは、別の女性たちが病院などの対応に心を痛めた経験も語り、同町職員はメモを取りながら聞いた。
晩婚化や晩産化が進み、流産・死産に悩む人の増加が指摘される中、支援の必要性の高まりを受けた厚生労働省は2021年5月、流産・死産した人へのグリーフケアの実施を自治体に通知。
22年3月には、厚労省の研究班が自治体や医療機関向けに手引きをまとめた。
手引きでは、赤ちゃんの見送り方について分娩前に助産師らが家族の希望を聞くよう促している。
国の動きに前後して支援に乗り出した自治体もある。
福岡県は昨年から、ホームページで流産・死産の経験者に向けて「ひとりで抱え込まず、サポートを求めてください」と呼びかけ、自助グループなどの連絡先を紹介。
また「普通に誕生を祝ってほしい」「抱っこしたい」「(病院職員らと)話したくない」など、分娩(ぶんべん)時に希望する対応を家族が医療機関に意思表示するカードを作製し、県内の産婦人科医院を中心に配布した。
長崎県は母子保健担当の市町村職員らを対象にグリーフケアの研修会を実施。
大分県は当事者が経験を語り合う集いを月1回開いている。
一方で「まだ啓発や周知まで対応できていない。今後取り組みたい」(熊本県)という自治体もある。
周産期の女性の精神的ケアについて研究する遠藤佑子・甲南女子大講師は「まず(現場で当事者と接する)医療従事者や自治体職員が、当事者の置かれた実態を知る必要がある」と指摘。
行政と医療機関が、自助グループや支援団体と連携することが大事だと話す。
医学的には妊娠22週未満で胎児が亡くなると流産、22週以降で死産となる。
ただ、12週以降で亡くなると、死産届を自治体に提出する必要がある。
死産届を出すと、出産育児一時金の支給や産後休暇取得、産休中の社会保険料免除の対象になる。
産後の女性の心身をサポートする「産後ケア事業」は、妊娠週数を問わず受けることができる。
参照元:Yahoo!ニュース

