県議会でトイレ論争 「洋式化を」「古い」与野党への県の答えは
山口県議会9月定例会が7日、閉会した。
1カ月間の会期中、与野党からわき上がったのは「トイレ論争」。
和式ばかりの県庁内トイレの洋式化を与党が訴えれば、野党は県立学校の古すぎるトイレの改善を求めた。
これから新年度予算案の本格的な編成作業に入る県執行部の答えは。
「県庁のトイレはいまだに和式が中心。多くの人が働き、来庁者も多い県庁舎のトイレの洋式化を進めていただきたい」
9月27日の一般質問。
自民会派の有近真知子県議は県庁の職場環境の改善を求める中で、トイレの洋式化を要求した。
議場から「賛成」の声が上がった。
職員らが暮らす一般住宅を中心に、洋式トイレや温水洗浄便座が普及しているとして、有近氏は「家庭と同じように使うことができる安心感や快適さはもちろん、衛生面でも大きなメリットがある」と主張した。
住宅に比べて、県庁舎のトイレ事情は遅れている。
国が2008年に行った住宅・土地統計調査によると、洋式トイレのある県内住宅の割合は、89.6%の全国平均とほぼ同じ86.9%。
総務省国勢統計課によると、「時系列に大きな変化もなく、普及率も約9割と高い状況が把握された」ことを理由に、洋式トイレの割合は08年を最後に調査していない。
一方の県庁は、いまだに和式便器が主流だ。
県管財課によると、県庁舎の洋式化率は10月現在26.9%。
本庁舎の大便器204基のうち、洋式は55基。
大便器2基がいずれも和式のトイレもある。
1984年に県庁舎を建設した当時、洋式便器は多目的トイレを含めて22基しかなかった。
当時は、来庁者の多い場所に洋式を配置し、職員用のトイレはほとんどが和式だった。
洋式化を求める声が上がったのはここ最近の動きだという。
職員からの要望を受けて、2017年3月に8階の和式便器男女各1基を洋式化した。
「全ての階に最低一つは洋式トイレを設置することを基本に整備を進めてきた」(県管財課)ものの、県庁舎の洋式化の歩みは遅いのが現状。
自民会派は一般質問で、県執行部にさらなる洋式化を求めた形だ。
有近氏の質問に対し、佐藤茂宗総務部長は「ライフスタイルの変化を踏まえれば、洋式トイレを整備する必要性がより高まっている」と強調。
洋式トイレの増設や除菌クリーナーの設置などに言及したうえで、「環境整備の充実について具体的な検討を進めていく」と前向きな答弁をした。
同じ日の一般質問では、学校の老朽化したトイレも論点となった。
「学校のトイレが汚すぎて悲しい」。
共産会派の河合喜代県議が「高校生の声」を引きながら、設置から40年超のトイレの改修計画を速やかにつくるように求めた。
河合氏の質問に対し、県教育委員会の根ケ山耕平・副教育長は、老朽化したトイレへの対処が必要だとの認識を示す一方、学校の要望に応じた対策をとっていると強調。
「改修計画の策定は考えていない」と答えた。
にわかに「トイレ論争」が盛り上がった県議会。
その議場が入る議会棟も、洋式化が遅れている。
超党派で作る議会改革検討協議会では、バリアフリー化に向けて「改修を検討」という方向性が示された。
協議会では、県議会棟には、和式のトイレしかないフロアがあり、便器の形式も古いため、使いづらいという意見が出たという。
参照元∶Yahoo!ニュース