「畑のリンゴ、みんな真っ青」 全国2位の産地に異変、赤くなるはずが色付かない 酷暑影響? 着色不良や日焼け深刻に 「作り続けられるか」農家懸念

りんごをイメージした写真

実りの秋を迎えたのに―。

今夏の酷暑を受け、国内収穫量2位(2023年産)の長野県で特産のリンゴの生育に異変が生じている。

夜に気温が下がらなかったことで、赤く色づかない「着色不良」が深刻な地域が出ている。

昨年は凍霜害に見舞われただけに、台風も大雨の被害も少なかった今季にかける期待は大きかった。

色づかず青いままのリンゴを前に「この場所で先々も作り続けられるのか」と不安視する農家もいる。

長野地方気象台によると、8月は昨年の方が暑かったものの、9月の月平均気温は県内全30地点で同月としての最高を更新。

残暑が一層厳しかった。

リンゴの高温障害は、日中と夜間の寒暖差の小ささによって発生。

長野地域などで着色不良が起き、果肉が柔らかくなる症状もある。

着色不良は収穫の早い品種の「シナノリップ」や「つがる」、「シナノドルチェ」で既に見られ、10月出荷の「シナノスイート」でも発生している。

日焼けの被害も確認している。

これらの実は収穫しても等級が低下し、加工用などに回ると農家の大幅減収につながる。

「今年は霜も台風もない。『こんなにいい年はない』とわくわくしていたのに…」。

長野市豊野でリンゴを栽培する70代男性が肩を落とした。

例年ならこの時期に赤くなる「シナノスイート」は青い部分が目立つ。

「こっちなんてみんな真っ青だよ」。

畑の一角を指して嘆いた。

着色不良は等級下落などにつながり、収入減に直結する。

ただ、色づくのを待つ間にも果肉は柔らかくなっていき、「少しでも色づけば、多少薄くても出荷しなければいけない」とした。

冬場のせん定に始まり、摘果や葉摘み、玉回しといった作業を一つ一つ丁寧にこなしてきた。

実はたくさんなったが、日焼けなども発生。

男性は「今後やっていくのが嫌になった」と話し、低地は今後徐々に適地でなくなるのではないかと懸念した。

リンゴやブドウを栽培する須坂市の岡沢好成さん(55)の畑では、9月収穫の「シナノドルチェ」で着色不良が見られた。

11月からの「ふじ」も一部が夏に日焼けした。

温暖化で年々育てづらくなっているとし、「気温はこれからも上がっていくだろう」と見通す。

現在手がけるリンゴは17品種。

「売れないものを作ってももうからない。特色があるものを作りたい」とし、気候変動に対応でき農園の顔にもなる新品種を積極的に取り入れている。

参照元∶Yahoo!ニュース