美術館の「館長」職が「Indeed」で募集された理由 誰でも応募できる? 運営元に聞くと

自分に合った仕事を探している人

「大阪中之島美術館館長」「月収83万3333円」「超人気」。

求人サイト「Indeed」に掲載されたのは、アルバイト募集のような体裁の条件紹介とともに表示された「美術館館長」の文字。

その内容がXに投稿されると、7万超の「いいね」が寄せられ、「激アツ」「館長って契約社員なんだ」などの反応が集まった。

美術館の館長といえば、学芸員などとして働いていた人が繰り上がったり、美術分野の有識者が任命されたりするイメージがありますが、公募の理由はいったい?運営元に話を聞いた。

2022年に開館した大阪中之島美術館は大阪市北区にあり、地方独立行政法人の大阪市博物館機構が運営している。

機構は19年に大阪市によって創設され、市内で中之島をふくめ6館の博物館や美術館に携わっている。

機構の総務課長の稲垣寛太さんに電話で尋ねると、一言目は意外なことに「前からやってるんです」という回答があった。

稲垣さんによると、6館のうち4館(市立美術館、市立自然史博物館、市立東洋陶磁美術館、市立科学館)はこれまでの5年間で公募による館長が就任している。

今回は現館長の任期が終了するため、8月から大阪中之島美術館だけでなく大阪歴史博物館も館長を募集していた。

公募の理由は「公正で透明な人事を確保するため」だという。

機構の設立団体である大阪市は橋本徹氏の市長時代に区長や局長の公募制を始めており、「公募のシステムにはもとから親和性があった」と稲垣総務課長は説明する。

公募についてはこれまで通り、機構のホームページ、ハローワークや、国家公務員が使える「官民ジョブサイト」に情報を掲示していたが、「なぜか中之島美術館の募集情報のみがIndeedに転載され」(稲垣総務課長)、多くの人の目に触れたことによって話題になったとのことだ。

Indeedの広報にも経緯を聞いてみた。

Indeedは企業の求人ページや求人サイトなどの情報をプログラムによって自動で情報収集していて、そのうち掲載基準を満たしたものがIndeedに転載されることがよくあるのだそうだ。

ちなみにハローワークは求人情報の転載を認めている。

「特定の求人情報がどこから来たものかは開示していませんが、今回の事例も同じプロセスによる掲載である可能性はあります」(広報担当者)

なおX上では「契約社員」の表示に驚きや心配の声が上がっていましたが、任期が決まった採用であるためIndeed上の表示は契約社員になっており、機構のホームページでは2025年4月1日から任期5年の「管理職職員」と定められている。

公募となると「私でも応募できるのか?」と期待も高まりますが、選考については有識者による選考委員会で厳正な審査が行われるという。

公募で過去に選ばれた4館の館長はいずれも学芸員や研究職の出身だった。

これまで集まった応募人数や倍率は明らかにしていませんが、「すごく少ないということはない」(稲垣総務課長)という。

それまで館長を務めていた人が応募することもでき、実際にこれまで公募をした4館のうちの2館では続投した例もあったそうだ。

今回の2館の募集は9月6日に締め切られた。

書類審査、面接審査を経て12月に任命内定者が決まる。

参照元:Yahoo!ニュース