「手足口病」が再び大流行 夏に流行る感染症がなぜ秋に 35都府県で“警報基準”超え

手足口病を患っている患者

子どもを中心に感染する「手足口病」の患者数が、再び増加傾向になっている。

警報基準を超えた自治体も多く出ており、注意が必要な状況だ。

この内容について中路医師に伺った。

編集部:手足口病の感染状況について教えてください。

中路先生:手足口病の感染状況が増加傾向にあり、2024年9月16~22日に報告された患者数は、全国の1拠点あたり7.77人でした。これは、去年の同時期と比べて約5.9倍になります。

手足口病の警報基準は1拠点あたり5人で、2024年9月16~22日におこなわれた報告によると、35都府県で警報基準を超えている状態だ。

感染者数が最も多い都道府県は愛媛県で、1拠点あたりの感染者数は19.95人となっている。

次に多いのが富山県で1拠点あたりの感染者数が17.62人、さらには宮城県が16.09人、島根県が14.18人、石川県が12.66人と続いている。

逆に最も感染者数が少ないのが徳島県で、1拠点あたり1.87人だった。

次いで沖縄県が2.25人、岡山県が2.33人、佐賀県が2.78人、三重県が2.98人となっている。

手足口病の2024年の感染者は、前年よりも多い状態が続いている。

2024年5月頃から感染者数は急増しており、2024年7月8~14日には1拠点あたりの患者数が全国平均で13.34人まで増えた。

ここをピークに一時期は感染者数が減少傾向になり、2024年8月12~18日には全国の1拠点あたりの患者数が3.87になった。

しかしその後、再び増加傾向に転じて現在に至っている。

編集部:感染が拡大している手足口病について、どのような病気か教えてください。

中路先生:手足口病は夏に流行する病気で、報告された患者の90%前後が5歳以下の乳幼児です。主にコクサッキーウイルスA6型・A16型、エンテロウイルス71型などのウイルスに感染することで発症し、感染経路は飛沫感染や接触感染、糞口感染です。

ウイルスに感染すると、3~5日後に口の中や手足、背中などに2~3mmの水疱性発疹が出ます。

また、肘、膝、臀部などに発疹が出ることもあります。

さらに、コクサッキーウイルスA6型による手足口病では、発症してから数週間後に爪が剥がれる症例も報告されています。

患者の約3分の1に発熱症状がみられますが、高熱が続くことは基本的にありません。

稀なケースですが、髄膜炎、小脳失調症、脳炎などの中枢神経系の合併症のほか、心筋炎、神経原性肺水腫、急性弛緩性麻痺などになることもあります。

現在のところ、手足口病には有効なワクチンや予防薬はありません。

手洗いや排泄物を適切に処理するといった、一般的な感染予防をおこなうことが重要です。

また、治療薬についても、手足口病への特効薬はありません。

基本的には、経過観察を含め、症状に応じた治療となります。

経過観察をおこなう中で「髄膜炎や脳炎が疑われる2日以上続く高熱」「嘔吐や頭痛」「視線が合わない」「呼びかけに答えない」「呼吸が速くて息苦しそう」「水分がとれずにおしっこが出ない」「ぐったりとしている」などの症状がみられた場合は、すぐに医療機関を受診しましょう。

編集部:全国的に増加傾向の手足口病の感染状況について、受け止めを教えてください。

中路先生:手足口病は、今後も感染拡大が続くと思われます。有効なワクチンや予防薬などはなく、感染経路として飛沫感染以外にも接触感染・糞口感染が挙げられるので、こまめな手洗いなどの感染対策が引き続き必要です。

参照元:Yahoo!ニュース