東京メトロ10月上場、売出額3195億円 6年ぶり大型IPO

東京メトロで走行している電車を撮影した写真

東京証券取引所は20日、東京地下鉄(東京メトロ)の上場を承認した。

東京メトロは民営化から20年を経て、10月23日にプライム市場へ上場する。

約6年ぶりの大型上場で、最大株主の日本政府は売却収入を東日本大震災の復興財源に充てる。

東京メトロは同日、上場に際して発行済みの半分に当たる2億9050万株を売り出すことを決議した。

売り出しの想定価格は1株1100円で、総額3195億円を見込む。

金融情報を扱うロンドン証券取引所グループ(LSEG)のデータによると、2018年のソフトバンク以来、約6年ぶりの大型上場となる。

上場時の時価総額は6391億円の見通し。

10月7日に仮条件価格を示したうえで、8日から11日にかけブックビルディング(需要積み上げ)に移行。

正式な売り出し価格は10月15日に決める。

投資家の需要が積み上がれば、時価総額は相応に膨らむ公算が大きい。

財務省幹部によると国内での販売比率は80%程度、海外では20%程度になると想定している。

投資家からの需要を喚起するため、乗車券の配布や関連会社の割引サービスなど、株主優待を導入する。

IPOを統括する共同主幹事(ジョイント・グローバル・コーディネーター)は野村証券、みずほ証券、ゴールドマン・サックス証券が務める。

東京メトロ株は国が53.4%、都が46.6%を保有し、合わせて50%をそれぞれ同率で売却する。

東日本大震災の復興財源確保法は、国が27年度までに確保した東京メトロ株の売却収入を復興債の償還費用に充てると規定している。

東京メトロの歴史は、1920年に設立された東京地下鉄道株式会社にさかのぼる。

7年後に東京の浅草と上野を結ぶ日本初の地下鉄を開通。

帝都高速度交通営団(営団地下鉄)を経て現在の路線網は195キロに広がり、新型コロナウイルス禍の影響が残る2022年度の乗客数は約21億人だった。

日本民営鉄道協会に加盟する16社中、2位の東急電鉄に2倍以上の差をつけてトップだった。

2004年の民営化とともに東京メトロに改称すると、上場に向けて準備を進めたが、都営地下鉄との「一元化」を求める石原慎太郎知事や猪瀬直樹副知事(いずれも当時)が株式売却に反対し、上場議論はしばらく立ち消えとなった。

しかし、21年7月に国土交通省の諮問機関が「復興財源を確保し、将来世代に負担を先送りしないためにも、株式売却を早期に進めていく必要がある」と答申。

上場への動きが道が開けた。

東京8号線(有楽町線)の豊洲─住吉間の延伸、白金高輪と品川を結ぶ品川地下鉄構想の整備を確実に進めるため、国と都が株式の半分を当面保有し続けることも提言した。

参照元:Yahoo!ニュース