対ロ長距離兵器、ウクライナが制限解除要請 米「戦況一変せず」
ウクライナのゼレンスキー大統領は6日、西側諸国に対しロシアが主張する「レッドライン(越えてはならない一線)」を無視し、ロシア領土攻撃のために長距離兵器の使用を認めるよう求めた。
ウクライナに武器を供給する約50カ国からなるラムシュタイングループの会合で述べた。
ゼレンスキー氏が同会合に出席するのは今回が初めて。
「われわれは、国内の占領された地域のみならず、ロシア領内に向けても長距離兵器を持ち、ロシアが平和を求めるよう仕向ける必要がある」と述べた。
ウクライナがロシア西部への越境攻撃を繰り広げる中、ロシアはウクライナ各地にミサイルや無人機による攻撃を実施している。
ゼレンスキー氏は参加国に対し、約束した防空システム提供を確実に実施するよう求めた。
オースティン米国防長官は会議の冒頭、バイデン大統領がウクライナへの2億5000万ドル規模の追加支援を承認すると発表した。
「ウクライナの変化する要求に応えるための能力がさらに増強される」と述べ、迅速に提供する考えを示した。
ドイツは自走榴弾砲12門を追加供給すると表明。カナダは数カ月内に余剰の小型空対地ロケット弾や弾頭を送る予定だと明らかにした。
オースティン氏は、ウクライナが戦場の主導権を握ろうとしている例としてロシア西部クルスク州での攻勢を挙げ、「ロシアの侵略軍は今、自国の領土で守勢に回っている」と語った。
一方で「ロシアはウクライナ東部、特に要衝ポクロウシク周辺で攻勢を続けている」とも指摘した。
オースティン長官はその後、記者団の質問に答える形で、西側諸国がウクライナに供与した兵器を利用したロシアへの長距離攻撃を認めれば戦況が一変するとの考えを否定。
ロシアはすでにウクライナを攻撃するための戦闘機を米国製地対地ミサイル「ATACMS(エイタクムス)」の射程範囲外に移動させているとし、「それ自体で決定的な役割を果たす攻撃力は存在しない」と述べた。
同時に、ウクライナはATACMSのほか、英国製巡航ミサイル「ストームシャドー」などの射程圏外にあるロシア国内の標的を攻撃できるドローン(無人機)ほか独自の戦力を持っていると指摘。
「ロシア国内には多くの標的があるが、ウクライナには無人航空機(UAV)など、こうした標的に対処する数多くの能力がある」と述べた。
オースティン長官によると、ロシアによるウクライナ全面侵攻開始以降、35万人を超えるロシア兵が死亡または負傷したと推定されている。
ゼレンスキー大統領は、ロシア西部クルスク州への越境攻撃で約6000人のロシア兵が死亡または負傷したと明らかにした。
参照元:Yahoo!ニュース