花はぜいたく品? 苦境に立つ町の花屋 猛暑や物価高も影響 文化の浸透図る店主らも

フラワーショップを撮影した写真

季節ごとに色とりどりの花を並べる町の花屋が苦境に立たされている。

花離れに加え、物価高や円安による仕入れ値高騰が影響。

猛暑で枯れやすい生花を敬遠する傾向もあるといい、長崎市内の花屋からは「この先も続けていくのは厳しいのではないか」との声が上がる。

生産者の高齢化、後継ぎ不足も課題となる中、地元の若手店主らは花の文化の浸透を図ろうと教室の開催などに取り組む。

観賞用から墓参り用まで数多くの花が並ぶ長崎市万屋町の「フラワーショップ花楽」。

同店が取り扱う生花は3割ほどが輸入で、価格は以前に比べ全体的に2、3割ほど上がった。

近年は仏花を世話の必要がない造花に切り替える人も少なくない。店主の松下良三さん(47)は「昔の花屋は家を何軒も建てられるほどすごかったと聞く。今はどこも厳しいんじゃないか」と嘆く。

農林水産省の調査によると、全国の切り花類出荷量は2022年までの10年間で23%ほど減った。

県内では同じ期間で約11%減の年間9630万本に落ち込んでおり、需要減少をうかがわせる。

生産者らでつくる長崎花き園芸農業協同組合の組合員も年々減り、15年の386人に対し24年は309人。

担当者は「物価高で生活必需品でない花の買い控えが進んでいる」と分析。

生産者の高齢化や後継ぎ不足も大きな課題。

県立農業大学校(諫早市小船越町)園芸学科(花きコース)の学生は現在1、2年生合わせて7人。

20年前には約20人いたが、近年は生徒数が少ない状態が続いている。

職員の一人は「『花の生産や販売に若者が希望を見いだせない』と言う学生もいる」と明かす。

そうした中、県内の花屋などでつくる長崎花商組合青年部は花の文化を広めようと、県内の小学校などでフラワーアレンジメント教室を開いている。

小さい頃から花に親しんでもらおうとの狙い。

同青年部長の松下さんは「生産者とも協力しながら花の良さを広めていきたい」と力を込める。

フラワーギャラリー「オランダヤ」などを展開するオランダ屋企画(長崎市)の川口親義社長(43)は「花は心の豊かさのために衣食住の次に大事なものという考えを広めたい」とし「まずは花がぜいたく品という消費者の考えを払拭(ふっしょく)し、身近なものにしていきたい」と語った。

参照元∶Yahoo!ニュース