「八芳園」「ホテル椿山荘東京」老舗の結婚式場が相次ぎリニューアル 背景にブライダル需要の頭打ち

ウェディングブーケを受け取っている人

東京都内で、長い歴史があり人気の「4大結婚式場」といわれるのが、「ホテル椿山荘東京」「明治記念館」「八芳園」「ホテル雅叙園東京」。

こうした老舗結婚式場がいま新たな戦略を打ち出し、相次いでリニューアルに踏み切っている。

背景には何があるのだろうか。

老舗の結婚式場「八芳園」が開いた発表会。

来年3月に営業を休止し、半年間かけてリニューアルすると発表した。

一体どんな施設となるのだろうか?

今回のリニューアルで重視したのは、八芳園の売りである日本庭園だ。

400年ほど前、江戸時代の武家屋敷の庭として整備されたこの庭園。

第2次世界大戦後に八芳園がこの庭を活用。

料亭やブライダル事業を手がけてきた。

ただ、一部の施設からの眺めを重視するあまり、今のロビーは庭があまり見えない作りだ。

リニューアルでは、これを一新。

全面的に庭園の眺めを楽しめるロビーに改装する。

また、現在は小規模な披露宴会場として使われている部屋は両隣の部屋と統合し、300人近くを収容できる大部屋に改装する。

大画面のスクリーンを備え、デザインも落ち着いたトーンにする。

「現在は結婚式用でデザインを作っているので、7割ぐらいが週末の結婚式での利用。平日の企業のイベントは約3割。この比率を変えていきたい」(井上義則社長)

現在の八芳園はブライダル中心の事業モデルだが、今後は企業の会議や発表会などビジネス需要も取り込む考えだ。

背景にあるのがブライダル需要の頭打ち。

婚姻数の減少などに伴い、市場規模は今後も伸び悩む見通しだ。

東京の新しい玄関口を目指して再開発が進む高輪や品川エリアにもほど近い立地の八芳園。

国際ビジネスを目的に来日する外国人客の拡大にも期待を寄せていて、リニューアル後、国際会議やパーティーなどの売り上げは約2割ほど増えると見込んでいる。

「八芳園は港区白金台1-1-1という住所で、港区は都市開発が盛んに行われているエリアなので、日本の文化を体験できる場所というブランディングをすることで、恩恵を十二分に受けることが可能」(井上義則社長)

老舗結婚式場の改装は他にも。72年の歴史を持つ「ホテル椿山荘東京」ではコロナの5類移行を受け、日本だけでなく海外からの客も増えているという。

外国人客の獲得を狙って先月改修したのが、スイートルーム宿泊者だけが利用できる高級ラウンジ「ル・シエル」だ。

室内は伝統工芸品の江戸切子や日本画など和を感じる空間に。

ビュッフェカウンターにはラウンジ限定の料理に合わせた日本酒のドリンクバーも設置されている。

さらに、テラスに出ると、緑豊かな庭園が一望できる。

ただ、こちらのスイート専用のラウンジ。

以前は違った用途で使われていた。

「窓の部分に祭壇があった。ここはもともとチャペル」(「ホテル椿山荘東京」の園部咲乃さん)

もともと3カ所あったチャペルのうち1カ所をラウンジに改修した。

挙式の減少を受けて、外国人客の獲得を目指す方向に舵を切ったのだ。

「遊休施設を利活用することで宿泊客への付加価値を上げ、収益を上げる」(園部さん)

スイートルームのひと部屋あたりの料金は1泊(2名1室)13万4900円から。

スイートルームの宿泊客を増やすことで、客室単価を上げるとともに稼働率を向上させたい考えだ。

参照元∶Yahoo!ニュース