オレンジ、カカオ、銅 「商品」が軒並み高騰 共通項は「供給制約」

価格をイメージした写真

農産物や金属など、世界中で大量に取引される「商品」(コモディティー)の国際価格が軒並み上がっている。

農産物ではカカオ豆やオレンジ果汁が、金属では銅などが、今年に入り史上最高値をつけた。

共通する背景として、地政学的な緊張や気候変動といった「供給側の制約」が浮かび上がる。

世界的なインフレ(物価高)を長引かせる可能性も指摘されている。

これらの「商品」は世界各地の商品取引所で主に先物が売買され、刻々と市場価格がつく。

農産物では他にもコーヒー豆やオリーブオイルが、金属ではアルミニウムやスズが値上がりしている。

現在は落ち着いたが、ロシアのウクライナ侵攻後には原油や天然ガスなどのエネルギー、小麦やトウモロコシなど穀物の価格も歴史的な水準まで高騰した。

いずれも供給不足が値上がりの要因とみられる。

生産地での紛争激化▽欧米によるロシアなどへの経済制裁▽異常気象や病害の蔓延(まんえん)▽環境保護意識や資源ナショナリズムの高まり、といった事情が絡み合っている。

2000年代にも原油などの商品価格が高騰したが、金融大手HSBCのポール・ブロクサム氏は「当時は中国など新興国の台頭による『需要増』が大きな理由だった」とみる。

需要が伸びるので投資が活発化し、そこにリーマン・ショック後の経済低迷も重なり、需要の過剰感は解消に向かった。

しかし、今回の値上がりを招いている供給不足についてブロクサム氏は「地政学的緊張や気候変動は、すぐに解決できる問題ではない。世界のインフレを長期化させ、高金利が長引き、経済成長の重しになる可能性がある」と話す。

日本はこうした商品の大半を輸入に頼っているため、為替の影響も加わる。

1ドル=160円台に達した7月よりは円高方向に振れているものの、依然として140円台半ばの円安水準が続いており、輸入価格は高止まりしそうだ。

コモディティー価格の上昇は、日本でもインフレ圧力になり続ける可能性がある。

参照元∶Yahoo!ニュース