全身麻酔の抜歯手術で17歳生徒死亡 歯科医師2人書類送検 気管から酸素チューブ外れたか 業務上過失致死の疑い

医療ミスをイメージした写真

大阪府堺市の歯科診療所で2023年7月、特別支援学校に通う17歳の男子生徒が全身麻酔で親知らずを抜く手術中に心肺停止となり、約1か月後に死亡した問題で、警察は26日、手術を担当した歯科医師2人を業務上過失致死の疑いで書類送検したと発表した。

業務上過失致死の疑いで書類送検されたのは、堺市にある「重度障害者歯科診療所」の所長の男性歯科医師(55)と、当時勤務していた女性歯科医師(34)の2人。

心肺停止状態になり約1か月後に死亡重度障害者歯科診療所(堺市) 診療所の報告書によると、2人は2023年7月、特別支援学校に通う富川勇大さん(当時17)の親知らずを抜く手術で全身麻酔を行った。

通常、全身麻酔を行う場合、自力で呼吸ができなくなるため、チューブを鼻から気管に通して直接、肺に酸素を送る必要がある。

しかし、警察によりますと、このチューブが誤って気管から外れて、肺に酸素が送られていなかったという。

勇大さんは、麻酔開始直後に通常なら96%以上とされる血中の酸素飽和度が変動し、最終的には20%台にまで低下。

約1時間15分後には心肺停止状態となり、病院へ運ばれたものの、意識が戻らないまま、低酸素虚血性脳症で約1か月後に亡くなりました。

勇大さんは搬送時、腹部が異常に膨張していたという。

警察は2人がチューブが気管から外れていたことを確認しなかった上、男性医師は救急搬送の要請が遅れた過失で勇大さんを死亡させた疑いがあるとしている。

診療所は遺族に対し、「判断ミスだった」として謝罪したということだが、具体的な説明はなかったという。

亡くなった富川勇大さんの父親は2023年12月に取材した際、「(手術を受けた診療所は)体の不自由な方が治療を受けられる数少ない場所だと思っている。二度と同じような事故を起こさないためにきっちりとした対策を考えてもらいたい」と話していた。

2人は当時、勇大さんに異常が生じた原因を別の「気管支けいれん」と疑って処置していて、男性医師は調べに対して「気管支けいれんと判断したこと自体はミスではなかったと思う。ただ、喉頭展開(正しくチューブが挿入されているか目視すること)するなどして、チューブの位置異常がないか当時確認しなかったことがミスだと思っている。救急要請が遅れたのは私のミス」と話しているという。

また、女性医師は「当時は気管支けいれんの処置に固執してしまった。気管支けいれんの処置が効かずに改善されないのであれば、途中でチューブの位置異常や食道挿管を疑って喉頭展開できればよかったと思っている」と話している。

警察は検察に起訴を求める「厳重処分」の意見を付けている。

参照元∶Yahoo!ニュース