岸田首相退任へ“残された課題” 会談実現しなかった拉致問題・原発再稼働目指すも地元同意の目処立たず 韓国とは世界遺産登録めぐり関係近づく

総理大臣が席から離れている写真

9月に行われる自民党総裁選に出馬しないことを表明した岸田首相。

最重要課題と位置づけていた拉致問題は進展せず、次の政権へと引き継がれることとなった。

拉致問題だけでなく、原発再稼働問題などの課題も残されたままだ。

またしても次の政権へ引き継がれることに…“拉致問題”進展期待も会談実現には至らず「私たちは生まれ変わった自民党をしっかりと国民の皆さんに示し、支持を訴えていかなければならない」

2021年の自民党総裁選を勝ち抜き、就任した岸田首相。

就任して間もなく面会したのが、拉致被害者の家族だった。

この時、横田早紀江さんは「もう私たちもどこまで行けるか分からない状態。元気な間に喜びを与えていただければうれしい」と訴えた。

2023年5月には、「首脳会談を早期に実現すべく、私直轄のハイレベルで協議を行っていく」と日朝首脳会談の実現へ意欲を示した。

この発言に対しては、北朝鮮側が談話で「日本が関係改善を模索しようとするなら両国が会えない理由はない」と反応。

横田早紀江さんは「向こうの上の方が否定的でないコメントをなさったのは初めて」と進展に期待を寄せた。

能登半島地震後には金正恩総書記が岸田首相に宛てて見舞いの電報を送ったほか、水面下での交渉も表面化した。

横田めぐみさんの同級生・池田正樹さんは「具体的に少しずつニュースとして両国の接触が表面化したので、いずれにしても早急な日朝会談をしてほしいと願うばかり」と話す。

横田めぐみさんの弟で家族会代表の拓也さんは、「水面下の交渉がリセットとなることは残念。

次にどなたが総裁になっても、強い気持ちで、必ず解決してもらいたい」とコメント。

「何としても私自身の手で拉致問題を解決するという強い決意のもと全力で取り組んでまいります」岸田首相のこの決意は、またしても次の政権に引き継がれることとなった。

“佐渡金山”世界遺産登録のウラに韓国との交渉一方で、近づいたのが韓国との関係だ。

「佐渡島の金山」の世界遺産登録をめぐって、歴史認識の違いから韓国の反発を受けた際には、ユネスコへの国内推薦が一度見送られそうになったが、「佐渡島の金山の登録実現のため政府一体となって取り組んでまいります」と、方針を転換し、推薦。

水面下での交渉を続けて最終的に合意に至り、世界文化遺産の登録が決定した。

登録が決まると、すぐに花角知事や佐渡市の渡辺竜五市長に電話し、「日本の宝から世界の宝になった佐渡金山、これからもしっかりと守って将来に引き継いでいけるよう、地元の皆さんをしっかりと支援していきたい」とお祝いの言葉をかけた。

一方、ウクライナへの軍事侵攻などによりエネルギー価格が高騰した2022年には、「設置許可済みの原発再稼働に向け、国が前面に立ってあらゆる対応をとっていく」と柏崎刈羽原子力発電所6・7号機を含む、7基の原発の再稼働を目指す方針を打ち出した。

東電による再稼働の準備も進み、2024年には国による県民への説明会も開かれたが、再稼働に必要な地元の同意が得られる目処は立っていない。

拉致に加え、原発再稼働問題など残された課題はどうなるのか…次期総理の手腕が問われる。

参照元∶Yahoo!ニュース