「人前で褒めないで」若手の6割が回答”良かれ”と思った上司、”圧”と感じた若手

20代のビジネスマン

若手社員の6割は「人前で褒められたくない」と考えている。

民間機関のアンケートで、こんな調査結果が明らかになった。

成果を周囲にアピールされるよりも、「こっそり」褒められたいと若者が考えるのはなぜなのだろうか。

会社で働く若手とベテラン世代それぞれに取材し、ジェネレーションギャップを埋めるためにはどうすべきなのか、深掘りした。

「SHIBUYA109lab.」が2023年1月、18~26歳の社会人411人にアンケートした「Z世代の仕事に関する意識調査」によると、仕事を巡って「大勢の前では褒められたくない(個人的に褒めてほしい)」と考える人は全体の61.3%に上り、「大勢の前で褒められたい」(38.7%)を大きく上回った。

およそ1年後、15~24歳の計463人を対象に行った「Z世代の承認欲求に関する意識調査」でも、62.7%が「個別で褒められたい」を選んだ。

記者は27歳。

もし人前で褒められたら素直に嬉しいと思うが、同時に居心地の悪さを感じることもあり、「個別で褒められたい」を選択した人の気持ちは理解できる。

この世代が人前で褒められたがらない理由はなんなのだろうか。

6月末の5日間、サラリーマンが多い東京都内の新橋・日比谷エリアや代々木公園で、さまざまな世代の社会人に話を聞いてみることにした。

取材に応じてくれた人のうち、20代だった計21人にアンケートと同様の質問をしたところ、ちょうど3分の2に当たる14人が「人前で褒められたくない」と回答した。

中央官庁に勤めているという22歳の男性は「過度な期待が『圧』に感じる。

人の目があるので、より仕事を頑張らなければという意識が強くなってしまう」と話した。

23歳の女性が働く会社では、職場の士気を高めるため、社員同士が感謝のメッセージを公開できるコミュニケーションアプリを導入しているという。

「人に見えるよう投稿されると、『次』を期待されているようでプレッシャーになる。モチベーションを上げたいなら、給料を上げろと思う」と笑った。

人前で褒められると「周囲からねたまれるリスクがある」(28歳女性)、「恥ずかしい」(22歳男性)―といった意見もあった。

21人のうち「人前が良い」と回答した人は4人だけだった。

証券会社勤務の26歳男性は「周囲から認められたい気持ちが強いので、大勢の前が嬉しい。

プレッシャーにはならず、むしろ仕事を頑張ろうと思う」と前向きな様子。

残る3人は「自分はどちらでも気にしない」と回答し「褒められること自体が嬉しいので、どちらでもいい」(24歳、不動産営業)といった声が聞かれた。

若手社員の上司に当たる世代にも、同じ質問をしてみた。

部下を持った経験があるという計8人のうち、「人前で褒められたくない」と答えたのは1人だけ。

20代の回答とは対照的な結果となり、マーケティング機関による調査結果を知らせると、「個別派がこれほど多いとは」「自分の世代は、人前で褒められたい人が多いだろう」と驚いていた。

コンサルタント企業に勤める54歳の男性は「人前で褒めれば、その人の頑張りが周知されるので、仕事のモチベーションになると考えていた」と話す。

裁判所の調停員として働いているという69歳の男性は「前職のとき、部下の特色や特性が周知できると思い、人前で褒めるようにしていた。親心のつもりだったが、人によっては嫌な思いをさせたかもしれない」と振り返った。

「人前で褒めざるを得ない」事情もあるようだ。

49歳男性は「パワハラのリスク軽減のため、職場で部下と1対1にならないよう指導されている。

個別で褒めて欲しいと言われても…」と悩ましげだった。

参照元∶Yahoo!ニュース