80歳でアメリカ大陸一周達成 誕生日は米国人から祝福 道路沿いで銃口向けられたことも

目標を掲げている人

神奈川県藤沢市在住の市川栄一さん(80)が3月から6月まで約90日間かけて、自転車で米国の南側を横断し約6千キロを走破した。

新型コロナウイルス禍前に数回に分けて北側を横断しており、長年の夢だった米大陸一周を達成した。

巡り合った人に結婚式に招かれるなど交流を深め、ときには銃口を向けられる危機に見舞われることもあったがペダルをこぎ続けた。

思い出を重ね、「旅で出会った人を神奈川に招きたい」と新たな夢を抱く。

3月14日、10年以上乗っているというパナソニック製のスポーツ自転車にテント、寝袋、着替えなどの約20キロの荷物を積み、カリフォルニア州サンディエゴを出発した。

目指すは6千キロ先のニューヨーク。

道案内は1枚の全国地図、夜のお供はウイスキー。

次の街には、ホテルはおろか、商店や飲食店があるかさえわからない冒険が始まった。

1日の走行距離は百~百数十キロ。

朝7時に出発し、50分走って10分休憩することを繰り返した。

日差しは強く、スマートフォンは太陽光電池で充電できたが、体力は消耗した。

商店を見つけると、昼、夜、翌朝の3食分の食料を買い込む。

パンに缶詰やウインナーを挟んだものやインスタント麺などを食べた。

夜寝るのは、テントだけでなく、民家の物置の軒下、駅舎など。

円安と物価高騰で、サンドイッチは2つで40ドル(約6千円)、ホテルの料金も数年前に比べて3倍以上になっていた。

旅の醍醐(だいご)味はなんといっても出会い。

道端で休んでいるところで話しかけられ、「いつまでいてもいい」と1週間以上お世話になった家族もあった。

旅の途中で迎えた80歳の誕生日を祝ってもらったり、地域の集会や結婚式にも招かれたりした。

日本に牛肉を輸入しているという商社勤務の邦人男性は巨大な食肉加工施設を見学させてくれた。

1日2200頭を解体するという処理場を前に、肉牛を満載したトラックが列をなす様子に度肝を抜かれたという。

自分とは反対方向に歩いていく人、飼い犬と一緒に自転車旅を楽しむ人、簡易宿泊所で一緒になったダンサーなど、〝放浪仲間〟との邂逅(かいこう)もあった。

「こういうのが旅なんだよ」と市川さん。

参照元∶Yahoo!ニュース