「室温28度」あり?なし? 自治体不満、クールビズ導入20年目 良好な環境で効率よく仕事を
地球温暖化対策としてクールビズが始まって今年で20年目を迎えた。
ノーネクタイなど軽装で仕事するスタイルが定着する一方、近年の猛暑で不満が漏れるのは「室温28度」の目安だ。
国は民間企業への目安を示しての呼びかけをやめたが、省庁には残り、地方自治体の多くが準拠する。
官民問わず、柔軟に働きやすい環境をつくり、業務効率化や生産性向上を図る取り組みが求められている。
クールビズは2005年、小池百合子環境相(現東京都知事)が提案。
環境省が旗を振る中、民間への冷房の適切な室温管理の呼びかけは変化した。
資源エネルギー庁は近年の猛暑を受け、23年に「健康を第一に、温度は柔軟に設定」と「28度」の文言を削除。
省エネを進めるために熱中症などで健康を害しては元も子もないとの理由だ。
省庁や多くの地方自治体は目安を維持する。
温室効果ガス排出削減を目指し、空調設備がある場合は室内の気温を18~28度、湿度40~70%となるように努めなければならないとした事務所衛生基準規則が根拠だ。
島根県は本庁舎などで銅管を通る冷たい水に風を送るなどする中央空調方式で室内を冷やし、室温28度程度を維持。
維持管理費の安さが利点で、部屋を個別に冷やせない難点と一部で暑さを訴える声はあるが、仕事に支障が出るほどではないという。
今年7月に最高気温が35度以上の猛暑日は全国914の観測点で延べ3509回記録し、過去最多となるなど猛暑が日常になる中、省庁や地方自治体の職員は業務への影響を危惧する。
「自前で用意した机の上の小型扇風機を回さないと、とてもじゃないが仕事にならない」。
島根県関係の国土交通省の職員が嘆く。
島根県内の市職員も「昔より窓が大きくなって暑い。冷房の温度を下げたいが、寒いと感じる職員もいるので気を配る必要がある」と頭を悩ませる。
猛暑を受け、効率的に業務できるよう工夫する動きが出ている。
熊本県は木村敬知事(元鳥取県財政課長)が5月の会見で「環境に影響をかけない範囲で、なるべく快適な執務環境で生産性を上げた方がいい」と言及。
28度の目安を維持した上で、フロアによっては温度が異なる状況を改善しようとこまめに温度調整を進める。
兵庫県姫路市は19年から室温を25度に設定しており、費用の増加よりも職員の時間外勤務が減るなどの効果が上回ったという。
河野太郎・国家公務員制度担当相は8日の会見で、良好な環境で効率よく仕事をする必要があると説明。
空調設備の運用を柔軟にするよう各省庁に指示したと明らかにし「外気温がこれだけ高いと室内温度もさまざまになる。状況が変わる中、今の運用になっているのに驚いた」と話した。
参照元∶Yahoo!ニュース