香港、「買い物天国」から凋落 住民も観光客も支出減

香港の国旗を撮影した写真

中国の個人消費は弱いが、香港の状況はさらに悪く、住民と観光客がともに支出を減らすというダブルパンチに見舞われている。

商業ビルを運営する不動産大手は配当を削減しており、今後さらに事態が悪化しそうな雲行きだ。

かつて「買い物天国」として知られた香港は、急速にその魅力を失いつつある。

政府データによると、6月の小売売上高は前年同月比9.7%減の299億香港ドル(38億3000万米ドル)となり、4カ月連続で減少した。

これに対して中国本土の小売売上高は6月に前年同月比2%増えた。

原因は消費者の行動様式が変化したことにある。

香港住民は深センなど中国本土の都市に旅行して香港よりも格安な価格で買い物や食事、スパを楽しんでいる。

価格の違いをもたらしている大きな要因は、香港ドルが強い米ドルにペッグ(固定)されていることだ。

香港のショッピングモール運営会社の調査によると、例えば円安の日本は香港より最大30%ほども安くプラダなど高級ブランドのバッグが買える。

香港の不動産企業は、消費の落ち込みを痛感している。

香港の有名ショッピングモール、タイムズスクエアなどを運営する九龍倉置業地産投資(ワーフ・リアル・エステート・インベストメント)は過去5年間で純資産価値が16%減少し、株価はほぼ半分に下がった。

これまで景気減速下でも底堅かった高級不動産デベロッパーも、長引く低迷に備えている。

複合企業ジャーディン・マセソン傘下のホンコン・ランドは8月初め、事業戦略の「包括的見直し」を実施中だと発表。

7月には香港中環地区の高級ショッピングモール「ランドマーク」の刷新計画を公表した。

さらに心配なのは、九龍倉置業地産投資などの巨大不動産企業が珍しく配当を削減していることだ。

中国全土と香港で数多くの不動産を所有する恒隆地産は先月、上半期の純利益が前年同期比56%減少したのを受け、上半期の配当を約3分の2に削減した。

恒隆地産の陳啓宗(ロニー・チャン)会長は最近、香港不動産セクターが過去50年間で最大の構造的変化に直面していることについて、「だれもが地獄にいる」と述べた。

香港のショッピングモールや店舗全体を覆うムードを活写する一言だ。

1日発表の政府データによると、香港の6月の小売売上高は前年同月比9.7%減少した。

香港屈指の商業ビル運営企業、九龍倉置業地産投資(ワーフ・リアル・エステート・インベストメント)が6日に発表した上半期決算は10億5000万香港ドル(1億3480万米ドル)の赤字だった。

参照元∶REUTERS(ロイター)