生卵投げつけ女による4年間毎日続いた嫌がらせ「1日2パック」「原因わからず」被害女性が語る苦悩の日々

近隣住民との関係に悩む人

隣家から自宅へ、連続で生卵が投げ付けられる。

そんな「生卵投げつけ事件」が、岐阜県川辺町で起きた。

事件をめぐっては、岐阜県迷惑行為防止条例違反の疑いで、無職の各務良子容疑者(53)が逮捕・送検されたが、警察の調べに「やっていない」と容疑を否認しているという。

今回ABEMA的ニュースショーでは、50代の被害女性に取材した。

被害者の自宅を訪れると、黒く変色した生卵が、外壁にこびりついていた。

地面には卵の殻も散乱している。

「7月25日に片付けて、10日分でこんな感じになった。逮捕前日まで投げていた」という。

女性は投げつけられる瞬間を防犯カメラで撮影していた。

この嫌がらせは、なんと4年間、毎日受け続けていたという。

ゆでたまごの穴「早い時間だと朝の7時20分くらいから投げてきて、夜は8~9時まで。網戸も卵が突き破り、突っ込んだまま止まる。ゆで卵を投げられると穴が空く。1週間に1回くらい掃除するが、毎日投げてくるのでキリがない。気持ち悪いし、腹立たしいし、悲しいし、つらいし……」(被害女性)

防犯カメラを7台設置したが、被害はおさまらなかった。

今の時期に欠かせないエアコンにも影響が出た。

「(室外機に)卵の液が張り付いて使えない。2台あるうちの1台がダメになった」。

壁の清掃や塗装、防犯カメラ設置など、これまでに総額200万円以上がかかった。

被害女性は現在、夫と2人暮らしで、家は24年前に新築で購入した。

嫌がらせは4年半ほど前に始まったが、「原因がわからない。何を考えて投げたのか、逆に教えてほしい」と語る。

被害女性によると各務容疑者は3年前にも、同じ容疑で逮捕されているというが、その後も嫌がらせ行為を繰り返してきた。

被害者によると、一番多いときで「1日に2パック(20個)くらい投げてきた。安かったころは。最近は1パック(10個)に節約しているみたい」だという。

どういった精神状態で、なぜ卵を選んだのか。

臨床心理士で明星大学心理学部の藤井靖教授は、「一方的に被害妄想的な感情を抱くなど、自分がもやもやしている状況があったと想定される」と分析する。

「一番大事なのは自分の気持ちのスッキリ感、影響力を目に見える形で示したい、かつそれを長く続けるには、卵が適している。白身が絡んで片付けにくく、致命傷は与えないが、ジワジワと心理的に悪影響を与える。自分でも投げやすい。他にそういう素材はない気がする」

被害は卵だけではなかった。

畑にブラジャーが投げ込まれることもあり、被害女性は「怒りの前に驚き。そんなことをする人がいるのか」。

他にもガラスのコップや皿、使用済みのシップやカイロまで投げ込まれた。

「どこかに引っ越したくても、落ち度がないのに大金を払って出て行かなくてはいけない。しかも、ここを売っても買う人はいない。まだローンも残っていて、どうしようもない」と心情を吐露した。

生卵による嫌がらせを、生産者はどう思うか。

東京都世田谷区で40年以上養鶏場を経営している「吉実園」の吉岡幸彦さんは、「いい加減にしろ。卵を侮辱している。冗談じゃない」と怒りを示す。

このような隣人トラブルに遭った時、私たちはどうすればいいのか。

藤井氏は「検挙と同時に、福祉的な支援や医療の受診をセットにしないとおさまらない」と指摘する。

「被害者が引っ越したり、室外機が壊れないように囲ったりなどの対症療法的なことしかできないのが現状だ」と語る。

国際法律事務所 大阪事務所の中川みち子弁護士は、相談を受けて難しい案件のひとつに「近隣トラブル」があると語る。

「よくあるのが、大きな音を出すトラブル。生活音の場合は、ずっと続く音でなければ損害を受けたと言いにくく、『これで大丈夫』という解決方法を申し上げにくい」とした。

被害女性を取材したスタッフによると、被害者宅のカレーの匂いで怒ったり、庭に出ただけで暴言を吐いたりなどの行為もあった。

こうした嫌がらせは入居してきた20年前から続き、4年前から生卵の投げつけに変わった。

加害者も防犯カメラで被害者宅を監視していて、被害者が出てきたら嫌がらせをしていたという。

参照元∶Yahoo!ニュース