イスラエルがベイルート空爆、標的のヒズボラ司令官の生死巡り情報交錯
イスラエル軍は、27日に起きたゴラン高原へのロケット弾攻撃の報復として、レバノンに拠点を置く親イラン武装組織ヒズボラの司令官を標的に、30日にレバノンの首都ベイルート南部の郊外で「的を絞った」攻撃を実施したと発表した。
イスラエル軍によると、攻撃の標的はゴラン高原攻撃に関与したヒズボラの上級司令官だった。
関係筋2人はイスラエル国営放送に対し、イスラエル当局が「攻撃の標的」が死亡したと考えているという認識を示した。
一方、レバノン治安筋2人はロイターに対し、標的はヒズボラの作戦本部トップのファド・シュクル氏で、イスラエルの攻撃で重症を負ったと明らかにした。
目撃者によると、現地時間午後7時40分ごろ、ヒズボラの拠点があるベイルート南部郊外で大きな爆発音が聞こえ、煙が上がるのが見えた。
レバノン保健相によると、イスラエルの攻撃で1人が死亡したほか、35人が負傷し、うち3人は重傷という。
イスラエルが占領するゴラン高原へのロケット弾攻撃では、子どもを含む12人が死亡。
ヒズボラは関与を否定しているが、イスラエルはヒズボラによる攻撃と主張している。
レバノンのハビブ外相はロイターに対し、イスラエルによる同国内への攻撃を非難し、国連に苦情を申し立てる考えを示した。
さらに、ヒズボラの対抗措置が事態をエスカレートさせないことを望むと述べた。
パレスチナ自治区ガザでイスラエルとの戦闘を続けるイスラム組織ハマスは声明で、イスラエルによるベイルート郊外への攻撃を「危険なエスカレーション」とし、強く非難した一方、米ホワイトハウスのジャンピエール報道官は、報復攻撃の報道が伝わる中、ヒズボラとイスラエルの戦争が不可避とは考えていないという認識を強調した。
また、ロシアのタス通信によると、同国の外務省はイスラエルによる報復攻撃を「明白な国際法違反」と非難した。
参照元∶REUTERS(ロイター)