米GDP、第2四半期+2.8%に加速 個人消費堅調 インフレ圧力緩和

アメリカ国旗を撮影した写真

米商務省が25日に発表した第2・四半期の国内総生産(GDP)速報値は年率換算で前期比2.8%増だった。

個人消費と設備投資の堅調な伸びを背景に、成長率は第1・四半期の1.4%から加速した。

ただ、インフレ圧力は和らぎつつあり、米連邦準備理事会(FRB)による9月の利下げ観測に変更はない見通し。

ロイターのまとめた市場予想平均は2.0%増だった。

FRBはインフレを伴わない成長率を1.8%程度と見なしている。

上期の成長率は平均2.1%と、23年下期の4.2%の半分程度となった。

第2・四半期は、企業の在庫積み増しや政府支出の増加も成長を後押しする一方、住宅投資の減少や貿易赤字の拡大が足かせとなった。

FWDBONDSのチーフエコノミスト、クリストファー・ラプキー氏は「経済成長は熱すぎず冷たすぎず、底堅い」と指摘。

「インフレはFRBの思惑通りの動向となりそうで、9月に利下げが実施される公算だ」と述べた。

経済の3分の2以上を占める個人消費は2.3%増。

賃金の上昇が個人消費押し上げに寄与した。

第1・四半期は1.5%に減速して医療や住宅、公共、娯楽などのサービスへの支出増が伸びを主導したほか、自動車・部品、娯楽用品や家具、耐久消費財、エネルギー製品などのモノへの支出も増加した。

設備投資は11.6%増と、前四半期の1.6%増から伸びが急加速した。

企業在庫は713億ドル増と、前四半期の286億ドル増から積み増しペース加速。

在庫は2四半期連続でGDPの伸びの足かせとなっていたものの、第2・四半期は成長率を0.82%ポイント押し上げ、貿易赤字の拡大による0.72%ポイントの押し下げ要因を相殺した。

インディペンデント・アドバイザー・アライアンスのクリス・ザッカレリ最高投資責任者は「米経済は考えられているよりもはるかに強い。市場では成長減速を巡る懸念も台頭していたため、安心感を得られるだろう」と述べた。

FRBが物価の目安として注目する、変動の大きい食品とエネルギーを除いたコア個人消費支出(PCE)価格指数は2.9%上昇した。

市場予想の2.7%を小幅上回ったものの、3.7%上昇だった第1・四半期から伸びが鈍化し、インフレの抑制傾向が示された。

FRBは来週、連邦公開市場委員会(FOMC)を開く。

市場では、9月の会合で利下げを決めるとの見方が多い。

FRBの高金利政策にもかかわらず、米経済は堅調さを保ってきた。

足元の経済の堅調な伸びが確認された一方、下半期の見通しは不透明だ。

労働市場は減速し、賃金上昇に影響するとみられる。

第2・四半期の貯蓄率は3.5%と、前四半期の3.8%から低下し、コロナ禍前の水準を大幅に下回った。

ただ、FRBによる金融緩和が見込まれており、景気後退は予想されていない。

参照元∶REUTERS(ロイター)