24日は丑の日なのに ウナギにも円安の余波 飲食店も養鰻業者も悲鳴「これ以上続くと」 苦境の中、新たな挑戦も着々

鰻丼の写真

奈良時代から夏の食材として知られ、日本人に親しまれているウナギが、近年は高根の花になりつつある。

シラスウナギ(ウナギの稚魚)の不漁に加え、記録的な円安で養殖コストも高騰。

ウナギの需要が最も伸びる24日の「土用の丑(うし)の日」を前に、鹿児島県内の飲食店や養鰻(ようまん)業者からは「これ以上コストがかさむと厳しい」との声が漏れる。

一方で、打開策として、人工種苗生産の研究も進む。

鹿児島市の「うなぎの松重」は6月、うな重を100円値上げした。

「並」で3200円。

かば焼きなども含めて、値上げは昨年から数えて3回目だ。

松崎一樹代表(41)は「仕入価格が安定していた2018年ごろは、1キロ当たり約3000円。でも今は5200円」と明かす。

同市の「うなぎの末よし」でも、7月時点の県産ウナギの仕入れ値が同月比で歴代2番目の高値になった。

ウナギを焼く炭の価格や光熱費といったコストも軒並み上がる。

ただ、店頭価格は客離れの懸念から今年は据え置くという。

苦しいのは養鰻業者も同じだ。

全国的にシラスウナギの採捕量は減少しており、24年は10年前と比べ6割減の7トンに落ち込む。

県しらすうなぎ採捕取扱者協議会によると、以前は1匹当たり150円だったシラスウナギが、近年は2倍以上となった。

大崎町のある業者は「シラスウナギ自体が高く経営は厳しい」と漏らす。

養殖コストも高止まりする。

ウナギの加工販売を手がけ、関連会社で養鰻場を運営する大新(指宿市)は円安のあおりを受けた。

中村智代表は「飼料や機械を動かす重油などが高く資金繰りが難しい」と嘆いた。

県水産振興課によると、シラスウナギを養殖する際の池入れ量には上限がある。

鹿児島県の今漁期(23年11月~24年10月)は、輸入稚魚を含め8.2トン。充足率は例年80~90%に上るが、全国1位の産地である鹿児島県産は特に需要が高く、成魚は常に不足している状況という。

一方で、シラスウナギを安定供給するため、人工種苗生産に取り組む企業もある。

17年に成功した新日本科学(鹿児島市)は23年度に約1000匹を生産した。

24年度は1万匹を目指す。

量産化こそまだだが、将来的にシラスウナギ不足を解消できる可能性がある。

同社の松本敏水産事業部長(56)は「安くするだけでなく、絶滅危惧種であるニホンウナギの保護にもつながる」と意気込んでいる。

参照元:Yahoo!ニュース