英新首相にスターマー氏、14年ぶり政権交代 「リセット必要」

4日の英総選挙(下院、定数650)で圧勝した労働党のスターマー党首は5日、チャールズ国王からの新政権樹立要請を受け、首相に就任した。
14年ぶりに保守党から労働党に政権が交代した。
首相官邸前で就任後初の演説を行ったスターマー氏は、英国は自らのアイデンティティーを再発見し、より広範なリセットが必要だと述べ、政治への信頼を回復し、全ての有権者に奉仕するために戦うと約束した。
「わが国は、より大きなリセット、われわれが何者かという再発見を必要としていることは、誰の目にも明らかだ。この国の最大の強みの一つは、歴史の嵐がいかに激しくても、常に、より穏やかな海へと向かう道を切り開く能力だ」とし「それは政治家、特に私のように安定と穏健主義を主張する政治家にかかっている」と述べた。
その上で「私の政府は、皆さんが再び信じるようになるまで毎日戦うつもりだ」とし、変革を進める方針を示した。
スナク前首相は選挙惨敗を受け、保守党党首も辞任すると表明した。
これまでに650議席中648議席の結果が確定。
労働党は412議席、33.7%を得票。
保守党は121議席に減らした。
このほか自由民主党71議席、スコットランド国民党(SNP)9議席、シン・フェイン党7議席、ナイジェル・ファラージ氏率いるリフォームUKが4議席となっている。
バイデン米大統領は5日、電話でスターマー氏に祝意を伝えた。
ホワイトハウスは声明で「首脳は米英間の特別な関係と、世界で自由と民主主義を支援するために協力することの重要性を再確認した」と明らかにした。
バイデン大統領はさらに、来週ワシントンで開催される北大西洋条約機構(NATO)首脳会談でスターマー氏を迎えることを楽しみにしていると伝えたという。
ロシア大統領府(クレムリン)のペスコフ報道官は、スターマー氏率いる労働党にはロシアとの関係を修復をする意欲はないとみられるとし、ロシアは英国を引き続き敵対国と見なすという認識を示した。
労働党はこれまでに、ウクライナへの支援継続を示唆している。
<厳しい道のり>選挙結果を受け、英ポンド相場と英株式はやや上昇したものの、スターマー氏は国が一連の大きな課題に直面しているときに政権に就く。
英国の税負担は第2次世界大戦直後以降で最高水準に達する見込みのほか、純負債は年間の経済生産高にほぼ匹敵。
移民対策も大きな課題となっている。
今回の選挙では右派ポピュリスト政党「リフォームUK」を率いるナイジェル・ファラージ氏が初当選。
ファラージ氏は英国の欧州連合(EU)離脱運動の火付け役だった。
スターマー氏はEUとの関係改善を確約。
ただ、労働党はEU再加盟は検討していないとしている。
スターマー氏はまた、11月の米大統領選挙でトランプ前大統領が返り咲いた場合、新たな米政権への対応も迫られる。
トランプ氏は自身のソーシャルメディア「トゥルース・ソーシャル」を通してファラージ氏に祝意を伝えた。
スターマー氏は国内で変化をもたらすと確約する一方、ロシアの侵攻を受けているウクライナを支持し続けると明確に表明。
外交面ではスナク氏の政策を踏襲するとみられている。
参照元∶Yahoo!ニュース