分譲マンション「目立たない」戦い 大規模修繕12年を18年に延長、超“省エネ”物件開発

マンションをイメージした写真

分譲マンションの価格が高騰するなか、不動産各社が差別化戦略を探っている。

分譲マンションといえば、駅からの距離や、玄関などの共用部の華やかさ、ディスポーザーや床暖房などの設備面の充実など“目立つ部分”の競争ばかりが注目されがちだ。

しかし「マンションの大規模修繕費の抑制」や「最高基準の環境基準への適応」など、あまり”目立たない部分”でも各社の差別化が進んでいる。

今回は、大規模修繕工事の周期を一般的な12年から18年に延長する工事を開発した野村不動産グループと、「ザ・ライオンズ」ブランドで超省エネ物件を開発した大京を取材した。

開発当初「業界内では冷ややかな反応」分譲マンション「プラウド」で知られる野村不動産グループ は、マンション住民が支払う「修繕費」の負担を軽減する仕組みを導入している。

分譲マンションでは従来、12年に一度は、足場を組んで実施する大規模修繕を行う必要があり、この費用を捻出するため住民らは毎月、修繕金を積み立てるのが一般的だ。

野村不動産が分譲したマンションの管理を受託し、修繕工事などを提案している「野村不動産パートナーズ」は、2017年から業界で先駆的な取り組みとして、大規模修繕の周期を12年ではなく最長18年に伸ばした大規模修繕工事の取り組み「re:Premium(リプレミアム)」を発表した。

業界標準を超える長期保証に加え、工事の周期を伸ばすため、外壁タイルや窓サッシと外壁の隙間を埋めるシーリング材の耐久性を上げるためにメーカーと共同開発をするなど、re:Premiumの開発には約2年間もかかったという。

「開発時点では12年周期が業界の常識で、『12年周期を変えるなんてありえない』『長周期化はリスクが高い』と業界内では冷ややかな反応でした」 野村不動産パートナーズの仙田浩之・技術統括部長は当時をそう振り返る。

工事を請け負う協力会社や、資材メーカーにとってもこれまで12年に1度受注できていた工事が、18年に1度となれば売り上げの減少に直結することもあり反発が強かったという。

「マンション管理をしている私たちとしては、住民たちの修繕積立金をショートさせることなく、どうマンションを健全に保っていくのかが大事です。工事周期の延長は、住民の視点に立てば自然と出てくる発想です」

参照元∶Yahoo!ニュース