トヨタ系、下請け50社に金型を無償で長期保管させる 最大30年・被害総額は数億円の可能性
自動車部品の大量生産に必要な金型を下請け業者に無償で長期間保管させたなどとして、公正取引委員会が近く、トヨタ自動車系列の車体製造会社の下請法違反(利益提供要請の禁止など)を認定し、再発防止を求める勧告を行う方針を固めたことがわかった。
保管の強要は全国約50社の下請け業者に及ぶとみられる。
トヨタ側は違反を認め、被害相当額を業者側に全額支払う見通しだ。
勧告が出るのは、トヨタが9割超の株を保有する子会社「トヨタカスタマイジング&ディベロップメント」(横浜市)。
一般車両向けの車体パーツのほか、救急車やレーシングカーなどの製造と開発を手がけている。
物価高などが中小企業の経営を圧迫する中、公取委は大企業と下請け業者との取引が適正に行われているか、監視を強めていた。
下請け業者側が取引の打ち切りを恐れ、金型の管理費の支払いなどを同社に要請できなかったとみている。
関係者によると、同社は遅くとも約2年前から、新たな発注の見込みがないにもかかわらず、バンパーやタイヤのホイールなどの製造に使う自社所有の金型や検査用器具など650セット超を全国の下請け業者約50社に預けたまま、倉庫などに保管させていたという。
金型の保管には広いスペースが必要で、倉庫代などの費用はすべて業者側が負担しており、損害は違反の認定期間だけで計数千万円に上るとみられる。
不当な保管は慣習的に長期間続き、最大で30年近く保管を強いられたケースもあったことから、実際の被害総額は億単位に上る可能性がある。
さらに、同社は60社以上に計5000万円分を超える車体パーツを不当に返品していたとみられる。
金型保管と返品で被害を受けた業者は一部重複しており、最終的な支払先は計90社程度になる見通しだ。
同社とトヨタは取材に「お伝えすることはない」と答えた。
◆金型=自動車や家電製品などの大量生産に用いる金属製の型枠。大きいものは高さ1メートル以上、重さ数トンに達する。1日に数千~数万の部品を連続生産できるため、納期の短縮やコスト削減につながる。
参照元∶Yahoo!ニュース